食べもの通信社 食べもの通信 家庭栄養研究会 
本文へ移動

2022月年5月号 隔月連載 すてきな日本の味【53】最終回

福島県浪江町のお米を使った絶品の無添加ポン菓子

ポン菓子 「こざかな味」 60g 432円(「しょうゆ味」「浪江唐辛子&カレー味」も)。 「までいドレッシングソース」 200g 500円(ともに税込)
子どもにもお年寄りにも
人気がじわじわ上昇中

 読者の皆さんに感謝を込めて、記念すべき最終回にご紹介したいのが「ポン菓子 こざかな味」。11年が過ぎても、まだまだこれからの被災地の復興。その支援のために開発された、福島県浪江町のお米を100%使ったポン菓子である。商品化したのは東京・池袋にあるワーカーズコープの組合員である杉田大さんだ。杉田さんは2011年の震災直後から福島に通う。「農家が一生懸命に作ったものが、風評被害で売れない。でも、風評被害ということばを作ったのは、県外の私たちです。ならば、首都圏から安全・安心を発信できないか」と考えた。
 復興支援という前に、まずおいしい。私はとくに「こざかな味」のファンだが、「しょうゆ味」や浪江町のトウガラシを使った「唐辛子&カレー味」もリピーターが多いという。厚みのある煎餅状で、よく考えられたひと口サイズ。子どももお年寄りも食べやすい。値段も手ごろとあって、口コミで人気がじわじわと上昇中である。「無添加なので、おやつに利用してくれる都内の保育園もあります。避難先からまだ帰れない福島のお年寄りたちにこのお菓子を知っていただき、食べてもらうのが当面の目標です」
 ちなみに飯舘村産の「いいてた雪っ娘かぼちゃ」を使った「までいドレッシングソース」は食卓がぱっと明るくなるオレンジ色で、これがまたおいしい。日々の食卓からつながることで、これからも末永く、被災地を応援したい。(『食べもの通信』5月号一部抜粋)

 ご注文先
復興支援 杉田商会
東京都豊島区東池袋1-44-3 池袋ISPタマビル8Fワーカーズコープ内
https://sugita311.base.shop
電話 090-7250-7768(杉田 大)

2022月年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【52】

宮城県「ほやほや屋」の ホヤ唐揚げ

プリフライほや唐揚げ 200g (2パック) 2000円(税込・送料別)
うまいだけでなく栄養豊富
だまされたと思って食べて
 
 昨年も、本当にもったいない話を耳にした。何でも2016~18年に、1万4890トンのホヤが焼却処分されたというのである。宮城県は養殖ホヤの大産地だ。そこで「自給率が38%(17年当時)の日本で、貴重な国産食材を捨てるのはおかしい」と立ち上がった人がいた。宮城県塩釜市の揚げかまぼこ屋の社長、佐藤文行さんだ。
 ホヤにはおいしい旬がはっきりとある。専門家によれば、それは夏。ホヤは春にたくさんのプランクトンを食べて肉厚になる。しかも、海水温が上がる時期にはエサをほぼ食べずフンもしないので、臭みもない。また冬に比べて夏のホヤは、エネルギー代謝に必要なグリコーゲンが8倍も含まれるという。
 堪能するなら佐藤さんが開業したホヤ料理専門店「ほやほや屋」でホヤ三昧が理想だが、今回はオンラインショップで買える唐揚げをあえて選んだ。寒い時期のビールにもワインにもお酒にも合う、上品なうま味爆弾である。そのうえEPAやDHA、血液を作るビタミンB12、酸化を防ぐビタミンEまで含まれる。
 まだおいしいホヤに出合ってない方も、ぜひ一度、だまされたと思って挑戦してほしい。(『食べもの通信』3月号一部抜粋)

 ご注文先
ほやほや屋
宮城県塩竈市北浜1丁目1-7
TEL:022-355-6106
FAX:022-355-6128
https://hoyahoyaya.com/

2022月年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【51】

味わいと多様性にこだわるブルーベリー農園

黒胡椒 20g 853円  完熟胡椒 20g 972円
多様な品種で
おいしさと安心を

 今年の夏、茨城県常陸大宮市の「ブルーベリー・フレンドファーム」を訪れた。茨城県北西部の久慈川流域に畑が広がる農業地帯の真ん中に、隠れるようにしてその農園はある。緑の林に囲まれた緩やかな斜面にブルーベリーが植わっていて、しかも無農薬・無化学肥料。
 その畑の絶景を見下ろすようして立つのは、農園の主人小口弘之さん夫婦が営むカフェである。ブルーベリーを使った特製タルトやお料理もいただける。
 現在では2か所の畑で約1.2ヘクタール、3000本のブルーベリーを植えているが、それも手摘みである。それだけでも驚くのに、そこには安全保障の意味から、約40種の多様な品種のブルーベリーが育てられている。
 今回、紹介したいのは定番のブルーベリーのコンフィチュールソースだ。バルドウィンという品種で、皮が薄く、舌触りがなめらかでゆっくりと熟すので酸味も少なく、これがヨーグルトやアイスクリームにのせてもパンにつけてもクセになるおいしさだ。美しい農園カフェには、また季節を変えて訪れてみたいと思わせてくれる場の力があった。(『食べもの通信』1月号一部抜粋)

 ご注文先
(株)ベジ・シェフ 
茨城県常陸大宮山方4151 「ブルーベリー・フレンドリーファーム」

2021年11月号 隔月連載 すてきな日本の味【50】

カンボジア内戦で激減した胡椒を復活させた日本人

黒胡椒 20g 853円  完熟胡椒 20g 972円
香り高いスパイスが
遠い国の人びととのご縁に
 この春、倉田由紀さんに出会った。彼女はカンボジアで胡椒農園を経営し、胡椒の販売を手掛ける会社「クラタペッパー」を運営する。
 クラタペッパーの黒胡椒は緑の大粒を乾燥させたもので、「完熟胡椒」とは房に数粒しかできない赤い実だけを選別し、乾燥させたもの。前者は柑橘系の香りで肉料理や炒めものに合い、後者はレーズン系の甘味さえ感じる香りでサラダや仕上げの香りづけにおすすめだという。後日、由紀さんが送ってくれた本『THE KURATA PEPPER~世界一の胡椒が彩なす上級レシピ~』(小学館)を読んで、その社会的価値に心を打たれた。
 ご主人の浩伸さんは1970年から23年続いた内戦で100万人の犠牲者を出し、国土がすっかり荒れていたカンボジアで、農業を復活させて人びとの暮らしの再生を支援しようと考えた。古い資料から胡椒の産地を探し、現地に数本だけ残っていた苗木を見つけた。
 カルダモン山脈の斜面で木の支柱につる科の胡椒を這わせる伝統的な農法にこだわり、97年から 自然栽培で育てている。しばらく旅も自粛の昨今だが、香り高いスパイスで、まだ見ぬ遠い国の人びととご縁を紡ぐのはいかがだろう。(『食べもの通信』11月号一部抜粋)

 ご注文先
クラタペッパー
https://kuratapepper.com/


2021年9月号 隔月連載 すてきな日本の味【49】

蒸し暑い季節にカフェ スローのオーガニックコーラ

森のスパイスとオーガニック黒糖の自家製コーラシロップ 250ml 1890円(税込)
スパイスの香りも
優しい後味もクセになる

 国分寺駅(東京)から歩いて5分の「カフェ スロー」は、今年20周年。このカフェで今年から販売する「森のスパイスとオーガニック黒糖の自家製コーラシロップ」は、スパイス・コーラの素だ。
 コーラは1886年、アメリカのジョージア州アトランタで発明された飲みもの。コカの葉やアフリカ産のコーラの実が使われていた。しかし、現在のコカコーラは砂糖、果糖ブドウ糖液糖、カラメル色素、香料、カフェイン、酸味料だそうだ。果糖ブドウ糖液糖の原料は輸入トウモロコシで、遺伝子組み換えの可能性が高い。
 今年のように暑い年におすすめなのが、カフェ スローのオリジナルコーラ。甘味は喜界島(鹿児島県)の有機黒糖、スパイスはメキシコ南部プエブロ州の森で設立された「トセパン協同組合」によるオーガニックのシナモンやオールスパイスという贅沢さだ。
 わずかな量に炭酸水を注ぐだけで何杯でも楽しめる。スパイスの香りも、喉で暴れない優しい後味もクセになる。(『食べもの通信』9月号一部抜粋)

 ご注文先
カフェ スロー
東京都国分寺市東元町2-20-10
TEL:042-401-8505
https://cafeslow.shop-pro.jp


2021年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【48】

体にも心にもおいしい肉まん 『名古屋肉まん本舗』

「招福 肉まん」 10個入り3350円(税込)
小麦粉も肉も野菜も
愛知さんのご当地肉まん

 愛知県名古屋市中川地区の『社会福祉法人みなと福祉会 わーくす昭和橋』という福祉事業所で、知的障害や精神障害を抱えた人たちの手で作られている。そして、これが売り切れ続出の大人気なのだ。
総料理長の岡本靖史さんは地元の素材にこだわる。この地区に残る希少な野崎ハクサイは、「中国から輸入された山東(ルビ=さんとう)ハクサイを20年かけて固定化させたもの。明治時代に日本に伝わった、ハクサイの元祖です」                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    
 「招福 肉まん」の生地に使う小麦粉は愛知県産の「きぬあかり」、豚は知多三元豚、幻の野崎ハクサイは自然栽培。隠し味には野崎ハクサイのエキスのほか、江戸時代から伝わる愛知県岡崎市の「まるや八丁味噌」も使われている。
 次にめざした究極の「鳳凰 肉まん」は点心マイスター協会の小林耕ニ会長が秘伝の生地「老麺(ルビ=ろうめん)(小麦生地の総称)」を伝授したことで誕生した。こちらは野崎ハクサイ、ニンジン、タマネギ、ニンニクやショウガまで自然栽培。一つひとつ手包みだから量産はできない。       
 岡本さんは言う。「最初は慣れない仕事でしたが、3年も過ぎるとみんな、自分の得意な作業を見つけた。ある青年の点心を包む技は、もうぼくを超えています。時間はかかりましたが、仕事が自分たちを成長させてくれることを実感しました」
 ポスト・コロナの時代は口福だけでなく、社会にも、心にも良い食べものを選びたい。【「食べもの通信」7月号一部抜粋】

ご注文先
名古屋肉まん本舗 社会福祉法人みなと福祉会 わーくす昭和橋
〒454-0836 名古屋市中川区福船町4-1

2021年5月号 隔月連載 すてきな日本の味【47】

三陸海岸の極上肉厚ワカメとコンブ

ワカメ・茎ワカメ(各200g×2袋)とコンブ(300g)の5袋セット 2500円(税・送料込) 発送は5月下旬~6月
漁師の長年の経験と
想像以上の手間を味わう


 宮城県の十三浜を案内してくれたのは、「浜とまちをつなぐ十三わかめクラブ」の代表、小山厚子さんだ。十三浜とは、三陸のリアス式海岸に点在する13の集落のこと。その集落のひとつ、大室で極上のワカメやコンブを作る漁師・佐藤徳義さんは、こう言う。「国産のワカメは25%くらいだよ。そのことをしっかりと伝えてほしい」
外食産業や加工品の多くが安い輸入ワカメを使うため、漁師たちが苦戦を強いられている。ただでさえ後継者不足で苦労していたところに、2011年3月11日の東日本大震災が浜を襲った。
 色合いが良く、肉厚なワカメは別格。だが、その陰には漁師たちの長年の勘と想像以上の手間がある。4月に刈りとったワカメは浜辺ですぐに海水で湯通しし、さっと冷やしてから濃い塩水に漬け込む。その後、圧力をかけて脱水。木箱で低温保存する。葉と固い芯を分ける作業も、芯抜きといって根気と経験がいる。
 小山さんは震災直後に、互いを支え合う集落の人びとの姿に心を打たれた。そこで、13年から共同購入の支援活動を始めた。春には佐藤のり子さんを通じて6軒の漁師から、秋には地元の漁協を通じてワカメやコンブを購入。売上げの一部は、十三浜の地域づくりに使われる。
 震災から10年、復興はまだ道半ば。厳しい自然のなかで日々の食卓を支える人びとに、感謝しながら味わいたい絶品のワカメとコンブである。

ご注文先
「浜とまちをつなぐ十三浜わかめクラブ」
〒980-0811
仙台市青葉区一番町2-6-1 シティハウス一番町中央2階
TEL 022-797-8572
FAX 022-797-8573 
メール wakame13@hamatomachi.org

2021年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【46】

食感が魅力的な能登さん天然茎ワカメのグリッシーニ

茎わかめ グリッシーニ 430円(税込)
農薬や化学肥料を大幅に減らし、有機肥料で栽培

 能登半島の七尾市の一本杉通りに、魅力的な老舗がある。90年の歴史を誇る堂々たる門構えの海藻専門店「しら井」だ。その漆塗りの重厚な店内は、さながら日本の海藻食文化を知るためのミニ博物館。女将の白井洋子さんとご主人が、輪島の沖、20㎞に浮かぶ七ツ島の海女たちが採った天然ワカメの価値を伝えようと、何年もかけて開発したのが「茎ワカメのグリッシーニ」である。
 グリッシーニとは、イタリア料理店などで最初の皿が運ばれるまでの間、小腹も減るのでポリポリといただきながら待つスティック状のパンのこと。これにあやかった命名だが、小麦粉などは使わず、茎ワカメを乾燥させたものだ。何よりもその食感が魅力的で、パリッ、サクッと仕上がっている。
 ワカメやコンブが体に良いことは充分承知していても、たとえば入れ歯だったり、差し歯でそしゃく力に少し自信がもてなくなると、どうも手が伸びないのがワカメの茎やメカブといった堅い部分だ。
 天然ワカメの三つの部位をスナックにして詰めた「能登の食べる海藻図鑑」も完成。オーソドックスな葉と茎の部分、そしてメカブ。ワカメの根元部分にはフコイダンとか、アルギン酸とか、ダイエット効果まであるといわれているが、何しろねばねばが強く、ご飯のお供にも難しい何かだった。これも食べやすいスナックになっている。(『食べもの通信』3月号一部抜粋)

 ご注文先
昆布・海産物處 しら井
石川県七尾市一本杉町百番地
TEL  0767-53-0589
FAX  0767-53-3899
https://konbuya-shirai.com/


2021年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【45】

能登産の原料でしょうゆ造りの原点貫く

「鳥居醤油 手づくり3点セット」 (左から)しょうゆ25g、もろみ粉14g、もろみ塩25g 1720円(税込、単品でも購入可。各540円)
しょうゆ造りそのものが
日本の貴重な文化遺産


 原料はすべて能登産。大豆の自給率はずっと5%ほどで低迷しているから国産ならば立派という世界で、石川産でもなく能登産である。そのうえ塩も能登産、珠洲(すず)の塩は日本で最も手間暇をかけた海塩と言っていいだろう。
 土壁のこうじ室で4日間、こうじができるまで昼夜、見守る。このこうじに塩水を加えたものがもろみで、2年間、杉樽の中で寝かせる。もろみ蔵は明治時代の2度の大火にも耐え抜いた。ここにすみ着く蔵つき菌が、ゆっくりと発酵を進める。これを100枚の麻袋を重ねた木造の圧搾機でしぼり、85度まで火入れしたら、ようやく天然仕込みのしょうゆの完成である。
 しょうゆをしぼったもろみを乾燥させて粉末にしたもろみ粉はポテトや乳製品との相性は抜群で、カラスミのパスタの向こうを張って、野菜のパスタなどに絡めてもおいしい。これに珠洲産の塩をブレンドしたもろみ塩の3点セット。小瓶は食卓に置いてそのまま使える。(『食べもの通信』1月号一部抜粋)

 ご注文先
鳥居醤油店
石川県七尾市一本杉町29
TEL 0767-52-0368
FAX 0767-52-0406
http://www.toriishouyu.jp/

2020年11月号 隔月連載 すてきな日本の味【44】

保全に奮闘する農家のお米「一週間日替わりセット」

「一週間日替わりセット」 コシヒカリ、ミルキークイーン 550円/㎏ 恋の予感、にこまる、ぴかまる、ヒカリ新世紀 500円/㎏(すべてセット価格、税・送料別)
農薬や化学肥料を大幅に
減らし、有機肥料で栽培


 姿川は、宇都宮市の南を流れる利根川水系の支流にあたる一級河川だ。そして、「姿川環境保全会」は2007年に地元の農家10人が中心となって発足した会で、さまざまな立場の78人が会員だという。活動の中心は、農薬や化学肥料をできるだけ使わない農業にシフトしていくこと。普段は人知れず、ゴミ拾いや堀さらい、草刈り、野火焼きをして景観を守っている。
 さて、その「姿川環境保存会」の会長が、米農家の鈴木康男さんだ。兼業農家の多い現代に、25ヘクタールもの田をもつ専業農家である。種もみの生産も担っており、農薬や化学肥料を大幅に減らした有機肥料100%で、さまざまな品種の米を作っている。こうして丹精込めた米は、「米米鈴木」(マイライス スズキ)のサイトでそれぞれの品種の特質を調べながら買うことができるが、せっかくなら食べ比べできるように7種の米を一箱に詰めた「一週間日替わりセット」も販売している。
 コヒシカリやミルキークイーンはなんとかわかるが、たとえば、「恋の予感」は酢飯や炊き込みご飯に向くそう。最近の食味コンテストの注目株は「にこまる」だという。食べ比べしてわかったことは、自分が米の味をよくわかっていないという無知の知。そんなわけで、もう一度、挑戦してみたくなるセットである。(『食べもの通信』11月号一部抜粋)

 ご注文先
米米鈴木(マイライス スズキ)
栃木県宇都宮市砥上町492  
TEL 028-648-4282
FAX 028-648-4283 
info@myricesuzuki.jp


2020年9月号 隔月連載 すてきな日本の味【43】

オーガニックなアレルゲンフリーのカレー

写真左から オーガニックヴィーガンレトルトカレー豆(180g 572円)、野菜、28品目不使用カレールゥ(ともに150g 583円)
アレルギーフリー、ヴィーガン仕様、国産にこだわった完全な植物性のカレー
 環境や体に良い食品作りをモットーにする会社「風と光」(横浜市)の辻明彦代表はオーガニックのカレールウ作りに取り組んできた「井上スパイス工業」井上和人社長にオーガニック食材を使ったアレルゲンフリーのカレー作りを相談。ついに3年前、「28品目不使用カレールウ」を完成させた。2019年時点で、国のアレルギー表示義務がある食材は28品目。そのすべてを使っていないばかりか、前出のスパイス8種も使わない画期的なルウである。
 辻さんは、若い人や忙しくて料理に時間をかけられない人も手軽に使える、ヘルシーなレトルトカレーも開発した。それが「オーガニック ヴィーガンレトルトカレー」で、野菜と豆の2種類。
 「野菜カレー」は北海道のカボチャペーストとトマトペーストでコクととろみを出し、「豆カレー」は国産のひよこ豆、レンズ豆、きんとき豆の3種類にジャガイモ、タマネギ入り。ショウガとニンニクが隠し味だ。
 素材はすべて有機栽培。米粉、小麦粉、ショウガ、ニンニク、野菜もできる限り国産にこだわった。牛脂や牛エキス、ゼラチンも使わない、完全な植物性カレーである。(『食べもの通信』9月号一部抜粋)
 
ご注文先
株式会社 風と光
横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1-804
電話 045-316-2020
http://www.kazetohikari.net/

2020年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【42】

「サンクゼールの丘」のジャム

「ブルーベリージャム」115g 400円。「黒ごまバター」(バター不使用)100g 400円(各送料別) 

長年のジャムづくりの技で タンザニアの孤児を支援

 長野県飯綱町にある「サンクゼールの丘」は、とにかく絶景である。レストランのテラスから見下ろす斜面にはブドウ畑が広がり、見渡す限り人工物のほとんどない緑の田園風景が広がる。

 ここに特別なジャムがある、発案者はレストランで1998年から働く小林フィデアさんだ。故郷タンザニアのソンゲアという町に、エイズ孤児などを支援する団体を立ち上げ、現在80人の子どもたちの世話をしている。

 黒ゴマにはハチミツを合わせ、ブルーベリーもレモンをやや聞かせるなど、長年のジャムづくりの技を生かしておいしさを追求した。酸味が爽やかだ。【『食べもの通信』7月号一部抜粋】

ご注文先

サンクゼールの丘
長野県上水内郡飯綱町大字芋川1260

電話 026-253-802 
http://stcousair.jp

 

 

 

 

2020年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【41】

水源の森のアイヌの恵み 行者ニンニクの「三升漬」

「ぎょうじゃにんにく」180g 650円(税別)

ついご飯がすすむ 卵焼き、ギョーザの具にも
 鵡川は北海道のほぼ中央にある占冠村から太平洋にそそぐ川だ。その鵡川と並行して流れる沙流川の流域には道内最大のアイヌの民が暮らしていたという地がある。

 この辺りでは行者ニンニクは別名「アイヌネギ」とも言われ、アイヌ料理に欠かせない。アイヌ語ではキトピロとか、プクサとよぶ。旬にたくさん摘んで乾燥させておき、一年中食べる。風邪を引いたときには汁に入れたり、葉を煮た湯気を吸うなどして治療に用いたという。行者ニンニクはネギ科の多年草で、ニンニクよりアリシンが多く、抗菌作用は抜群でビタミンB1も活性化するというから理にかなっている。

 占冠山村産業振興公社の一番人気は行者ニンニクの三升漬だ。トウガラシ(青ナンバン)、糀、しょうゆを一升ずつ漬け込んだ北海道や東北地方に伝わる保存食。辛味が強すぎず、糀の甘味とまろやかさが行者ニンニクの風味を引き立てて、ついご飯がすすむ。【『食べもの通信』3月号一部抜粋】

ご注文先

占冠山村産業振興公社
北海道勇払郡占冠村字中央

電話 0167-56-2832 
FAX 0167-56-2225 
 

 

 

 

2020年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【40】

シイタケ農家のコク深い「薬膳ミックス 参鶏湯」

(写真左から) 有機八丁味噌カップ300g 648円  有機八丁味噌 400g 760円(各税・送料別)

本格的な参鶏湯 家庭でどうぞ
  風邪をひいたかなと思うと、わが家では決まって参鶏湯(サムゲタン)を作る。韓国の代表的な薬膳料理だ。きちんと作ろうと思えば高麗人参、ナツメ、クコの実、松の実を用意し、さらに手に入りにくいヒナ鶏を一羽探してきて、その腹に生薬やもち米を詰める。
 しかし、わが家では手羽先では近くの店で手に入る鶏の骨付き肉を買ってきて、もち米は省略。高麗人参がないときはショウガで代用してしまうという手抜きの「もどき料理」である。
 ところがいつもどれかが欠けていて、パンチがない。すべてを準備するのは大変と思っていたところ、便利なセット「薬膳ミックス 参鶏湯」を見つけた。
 主役は、いいだしが出てスープにちょうどよい小ぶりな干しシイタケ。たっぷりの水を鍋に注ぎ、干しシイタケを入れて一晩寝かせておくのがミソだ。用意するのは手羽先と長ネギ、ショウガとニンニクだけ。酒も加えて1時間ほど煮込み、松の実と塩を加えたら、10分ほど煮ればできあがり。【『食べもの通信』11月号一部抜粋】

ご注文先

貫井園
埼玉県入間市小谷田2‐1‐19 

電話 04―2962-7372
http://nukuien.com 

シイタケ農家のコク深い「薬膳ミックス 参鶏湯」

薬膳ミックス 参鶏湯(サムゲタン) 648円

本格的な参鶏湯 家庭でどうぞ
  風邪をひいたかなと思うと、わが家では決まって参鶏湯(サムゲタン)を作る。韓国の代表的な薬膳料理だ。きちんと作ろうと思えば高麗人参、ナツメ、クコの実、松の実を用意し、さらに手に入りにくいヒナ鶏を一羽探してきて、その腹に生薬やもち米を詰める。
 しかし、わが家では手羽先では近くの店で手に入る鶏の骨付き肉を買ってきて、もち米は省略。高麗人参がないときはショウガで代用してしまうという手抜きの「もどき料理」である。
 ところがいつもどれかが欠けていて、パンチがない。すべてを準備するのは大変と思っていたところ、便利なセット「薬膳ミックス 参鶏湯」を見つけた。
 主役は、いいだしが出てスープにちょうどよい小ぶりな干しシイタケ。たっぷりの水を鍋に注ぎ、干しシイタケを入れて一晩寝かせておくのがミソだ。用意するのは手羽先と長ネギ、ショウガとニンニクだけ。酒も加えて1時間ほど煮込み、松の実と塩を加えたら、10分ほど煮ればできあがり。【『食べもの通信』11月号一部抜粋】

ご注文先

貫井園
埼玉県入間市小谷田2‐1‐19 

電話 04―2962-7372
http://nukuien.com 

減農薬りんごを絞った「りんごまるごとしぼりっぱなしジュース」

(左から)シナノドルチェ、シナノゴールド、グラニースミス、ふじ。

鮮酸味、甘味、口当たり、飲み比べたくなるおいしさ
 栽培種であるりんごの完全無農薬は、極めて難しい。勲夫さんは土作りに力を注ぎ、除草剤も使わない特別栽培のりんごを育てることに成功した。新規就農者の育成にも取り組み、生産者は30人にまで増えた。

 研究熱心な生産者は品種を少しずつ増やし、今では30種以上栽培する。グラニースミスなど、英国王室から町に送られた英国品種もあれば、米国原産の国光(こっこう)やインドりんごなどのリバイバル(復活)品種も、最近は人気だ。農園のりんごを使った「しぼりっぱなしりんごジュース」はりんごの種類によってまるで違う香り、酸味、甘味、口当たり。それぞれのおいしさを楽しむことができる。【『食べもの通信』9月号一部抜粋】

 

ご注文先

株式会社 山下フルーツ農園
〒389-1204 長野県上水内郡飯綱町大字倉井4276
お取り寄せサイト https://yamashita-fruit.stores.jp/
フリーダイヤル 0120-533-170
FAX 026-253-8234

 

 

 

 

2019年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【37】

山口県浮島の漁を支える「オイルサーディン」

(写真左から)「オイル・サーディン」170g 750円、「オイル・サーディン トマト&バジル」170g 800円、「ひじっ好いりこ」30g380円(送料別)

鮮度がいいから風味がまるで違う
 周防大島(正式には矢代島)ですてきなものを見つけた。新村(しんむら)一成さん(44歳)が島で起業した「株式会社オイシーフーズ」の人気商品「オイル・サーディン」だ。新村さんが生まれた、周防大島から見える人口209人、面積2.27㎢ほどの小さな島・浮島(うかしま)は、柑橘類の栽培と漁が盛んで、ことカタクチイワシ漁は今も山口県産のイリコの半分以上を占めるという。
 カタクチイワシは大きいと獲っても売れない。そこで新村さんはこのカタクチイワシを油で煮て滅菌し、オリーブオイルとナタネ油に漬けた「オイル・サーディン」の加工販売を始めた。鮮度がいいから、風味がまるで違う。タマネギと炒めてパスタにすると、本当においしかった。    

 新村さんはもう一つの島の特産品、ヒジキに味付けをしてイリコを加えた「ひじっ好(こ)いりこ」も商品化し、「全国むらおこし特産品コンテスト」(全国商工会連合会主催)で審査員特別賞を受賞した。売れ行きは好調だ。【『食べもの通信』7月号一部抜粋】

ご注文先

株式会社 オイシーフーズ
山口県周防大島町土居1001-51 
FAX 0820-73-1116 
http://oisea.com

 

 

 

2019年5月号 隔月連載 すてきな日本の味【36】

高千穂の山の恵みでつくられる「あまざけ」

「ちほまろ」(写真左から)プレーン(甘酒+乳酸菌)、玄米(玄米甘酒+乳酸菌)、へべす(甘酒+乳酸菌)150g 組み合わせ自由な12本セット3500円(送料別)

アルコールゼロ
甘酒が苦手な人や子どもにも

 宮崎県の高千穂からさらに分け入った秋元集落は、40世帯ほどの山深い村。南北朝時代の落ち武者集落だそうで、700年前の観音様や巨木もあれば、品の良いお神楽で知られる秋元神社もある。
 飯干淳志さん(64歳)が地域を元気にする一つの手立てとしてつくった甘酒「ちほまろ」。米麹甘酒を乳酸菌で発酵させた乳酸菌発酵甘酒。地元の米と麹しか使わない。しかも、水は秋元集落の湧き水を使う。  
 「ちほまろ」にはプレーン以外にも玄米、もち麦入り、宮崎県の柑橘「へべす」が入ったものなど、いろいろな風味がある。
 甘酒は江戸時代、暑い季節の朝の夏バテ防止の飲みものだった。乳酸菌も入っているしカロリーも高いので、風邪などで食欲のないときや、消化力が落ちているお年寄りにも重宝する。甘酒の米粒が残る感じや、独特の匂いが苦手という人にもおすすめ。 【『食べもの通信』5月号一部抜粋】

 

ご注文先

高千穂ムラたび
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字向山6604
電話 0982-72-7226
FAX 0982-82-2283
https://takachiho-muratabi.stores.jp/

 

 

 

2019年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【35】

世界農業遺産の地で生まれた「栗きんとん 栗九里」

大(190g) 820円(税込、送料・代引き手数料別)

 栗きんとんといえば、正月に作る栗の粒が入ったサツマイモの甘露煮がまず浮かぶ。けれども、本来の縁起物である栗きんとんは、栗と砂糖だけだそうだ。しかもこの「栗九里」は、宮崎県日之影町でとれた地栗だけを使ったぜいたくなお菓子。
 口コミで評判になり、全国にリピーターが広がった。秋から冬のシーズンには、日に800本も売れるそうだ。
 羊羹状の見た目からは想像しにくいが、小さく切っていただくと口の中でほろりと溶け、滑らかな食感と深い栗の風味が広がる。栗と砂糖しか使わないし、添加物もいっさい加えない。
 2015年、日之影町はお隣の高千穂町や椎葉村、諸塚村とともに、国連食糧農業機関(FAO)の「世界農業遺産」に認定された。これらの地域では、太古の噴火による神秘的な地形の急斜面で、お茶の葉や栗、米などを栽培している。未来に受け継ぐべき「エコなものづくり」――。「栗九里」はまさに、その進化系といえる逸品だ。 【『食べもの通信』3月号一部抜粋】

 

ご注文先
マロンハウス甲斐果樹園
宮崎県西臼杵郡日之影町大字岩井川642
TEL:0982-72-7422
 

 

2019年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【34】

長野県野沢温泉 感動的なジャム

アンズ 870円(M 130g~)、プルーン800円(M 140g~)、黄金桃 760円(M 140g~)送料別

 長野県の湯沢温泉で感動的なジャムに出合った。果実のエッセンスをぎゅっと凝縮したぜいたくな風味だ。

 ホテル「サン・アントン」の主人・片桐幹雄さんの妻・逸子さんは、ザンクト・アントン(オーストリア)の本場で、余計なものは何も加えず、旬の味を最大限に生かすジャムづくりを学んだ。そして、帰国。工房「ハウス・サンアントンジャムファクトリー」を始めた。「長野県は果物がおいしく、種類も多い。ジャムに適した品種もある。同じ果実でも天候によって毎年味が違うので、作り方も調節する」と言う。

 化学調味料や保存料は使わず、甘味は国産のビート糖や粗製糖のみ。
 1階のカフェでは本格的なエスプレッソやジェラート、スイーツが味わえ、旬のジャムやジュースが買える。取り寄せもできるが、やはり、温泉に浸かったついでに味見をして、気に入ったジャムを買うのがおすすめ。【『食べもの通信』1月号一部抜粋】

 

ご注文先

ハウスサンアントン ホテル&ジャムファクトリー
Tel: 0269-85-3597 / FAX: 0269-85-3963
〒389-2502 長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9515
E-Mail: info@st-anton.jp 
ホームページ:http;//Stanton.shop-pro.jp/

 

 

2018年11月号 隔月連載 すてきな日本の味【33】

抗生物質を使わない「車えび」 大分県姫島産

活き車えび300g 4500円(送料・税込) 生食用真空パック冷凍200g 1500円(送料別)

 姫島は、瀬戸内海の端っこにある人口2000人ほどの小さな島である。味の良い天然車エビは、この島の自慢の一つだ。ただし乱獲を避けるため、島独自の漁業制限を設け、大昔から守ってきた伝統がある。そこで当時の村長、藤本熊雄さんが思いついたのが、養殖事業だった。
 車エビは繊細で養殖が難しく、何度も失敗を繰り返す。村をあげて取り組み、ついに89年から第三セクター「姫島車えび養殖株式会社」を立ち上げた。島を訪れたさい、「車エビの養殖には抗生物質は使っていません」と説明を受けた。そもそも車エビの養殖は、農林水産省の規定によって、抗生物質の投与が禁止されているという。厳しい規定があるのは、養殖魚のなかでは車エビだけだそうだ。
 おがくずに包まれて送られてくる姫島の車エビはあまりに活きがよく、揚げるのはもったいない気がしてしまう。しかし、天ぷらにすると甘味も食感も違い、ぱっと食卓は華やかになる。【『食べもの通信』11月号一部抜粋】

 

ご注文先

姫島車えび養殖株式会社
大分県東国東郡姫島村2112-30
Tel. 0978-87-2119
Fax. 0978-87-2051
http://www.kurumaebi.jp/

 

2018年9月号 隔月連載 すてきな日本の味【32】

混じり気なし 千葉県成田「三里塚物産」のピーナッツペースト

農薬不使用・無添加ピーナッツペースト150g 890円(送料別)
 十年近く前、輸入品の落花生から発がん性の高い毒カビ「アフラトキシン」が検出され、騒然となった。昨年も、岐阜県の製菓会社の製品から同様の毒カビが検出され、回収騒動になった。
 もちろん、輸入品がみんな危険だなどと言うつもりはない。ただ、外国の農家が真面目に栽培したとしても、アフラトキシンは乾燥や船の輸送の段階で生える危険が伴うのだそうだ。
 日本の落花生の自給率は12%ほどで、むき実も殻付きも、ピーナッツバターもほぼ輸入品。国産の8分の1ほどの値だという。
 落花生は良質の脂肪、たんぱく質、ビタミンB1やビタミンB2も豊富。ならば、国内の落花生で丁寧に作られた商品はないかと探して見つけたのが、この「ピーナッツ・ペースト」だ。
 国内生産の7割以上を支える千葉県産の落花生100%。そのうえ無農薬。砂糖や植物油などの添加物も使わない、混じり気なしのペーストである。甘味のなかにほろ苦さもあり、何より香ばしい。少量のハチミツを練ってトーストに塗ると、朝から幸せである。【『食べもの通信』9月号一部抜粋】
 
ご注文先
三里塚物産
千葉県成田市東峰65-1
Fax 0476‐32‐0676 
Sanrizula.bussan@ocn.ne.jp

2018年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【31】

柿の種の最高峰「精華堂あられ総本舗」のおかき

「手のし柿の種」292円、「黒糖かりん」292円、 「玄米揚げしお」292円

 何が違うのか。まず原料の米が違う。おかきはもち米で作る。契約しているのは、有機もち米栽培グループ約30軒。「精華堂あられ」の清水精二社長(現会長)が、全国各地のもち米を食べ比べした結果、宮城県の「みやこがね」というもち米と出合い、同県に製造工場も建てた。

 昨今は米どころでいろいろな米菓子を提案しているから、国産米菓子は珍しくなくなったが、農薬不使用・科学肥料不使用のもち米を丸い粒のまま使っているとなると、ぐっと希少になる。
 もう一つのおいしい理由は油である。揚げる油も有機の植物油や国産の米油を使っているため香ばしく、食べすぎても胃にちっとももたれない。

 そして最後の違いは、化学調味料や食品添加物を一切使わず、安い原料の米菓子のように濃い味でごまかすこともない。【『食べもの通信』7月号一部抜粋】

 

ご注文先
株式会社 精華堂霰(せいかどうあられ)総本舗
東京都江東区清澄3-10-5

2018年5月号 隔月連載 すてきな日本の味【30】

鶴岡市「遠藤商店」 山のパワー「山菜」でデトックス

天ぷら用山菜セット3500円~。おまかせ山菜セット5000円~。送料別
 山菜のほろ苦さがただ恋しくなる季節。山形県鶴岡にある遠藤商店の強みは何といっても、修験道の山として知られる月山、湯殿山、羽黒山の出羽三山の底力。
 山に入って山菜を摘んでくる地元のお年寄りネットワークが健在である。紫がかったタラの芽などの天ぷらは、想像しただけでよだれが出てくる。香ばしくて、おいしくて食べごたえ十分。コシアブラ、ヤマウド、シドケ、コゴミ、アイコ、ミズ、フキノトウと種類も豊富。珍しい薄紅紫の花をつけた天然カタクリは酢のものなら色がきれいだし、天ぷらも華やか。赤コゴメは白あえもいい。
 5月に出る月山茸は千島筍の若竹で、市内にあるイタリアン「アルケッチャーノ」の奥田政行シェフ考案のレシピ、生ハムでくるくる巻いてフリットにすると、これがまた病みつきになる。
 秋は天然のマイタケやナメコ、薬剤を使う薫蒸処理をしない貴重な和栗もおすすめだ。
 
ご注文先
『山菜卸問屋 遠藤商店』
山形県鶴岡市末広町20‐20
☎0235-26-7333(電話での注文は受け付けていません)http://www.sansaiya.com(山菜.comで検索)
 

2018年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【29】

合鴨米を使い、伝統的な製法で作った「合鴨家族 古野農場 純米酢」

合鴨家族 古野農場 1本 300ml 648円(税込)
 完全無農薬、合鴨農法でお米を作り、野菜も栽培する農家・古野隆雄さんと妻の久美子さんに、プロの料理人でもある次女・瑞穂さんも協力し、農園オリジナルの調味料の開発もすすめています。
 昨年デビューした「合鴨家族 古野農場 純米酢」もその一つ。合鴨米を使い、かめで3年熟成させた本格的な酢です。
 酢飯はもちろんのこと、ドレッシング作りに使っても、ギョーザの酢じょうゆにしても、不思議と角がなく、それでいてきりっとした風味があり、使い勝手がいいのです。
 いまは通販サイトで、合鴨米(ヒノヒカリ)とオリジナル調味料に加えて、季節の野菜、小麦なども直売しています。(『食べもの通信』2018年3月号より一部抜粋)
 
ご注文先
合鴨家族・古野農場
福岡県嘉穂郡桂川町寿命824
Tel:090-9604-9266

2018年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【28】

十勝「森田農場」の小豆「きたまろん」

こだわり最中 手作りキット 24個セット2262円(税込・送料別)
 たんぱく質、鉄、体の酸化を防ぐポリフェノールも豊富な小豆を、もっと暮らしに取り戻そうと、和菓子作りに挑戦。しかし、ここで小豆の選び方や煮方を誤ると、同も軟らかく仕上がらない。そこでおすすめなのが、「森田農場」の小豆と「こだわり最中 手作りキット」である。
 「キット」は桜色と焦がし色の最中の皮、小豆とテンサイ糖がセットになっている。小豆は在来種から大納言級の大粒だけを厳選したもの。注文時に頼めば、小豆の上手な煮方メモもついてくる。道産のテンサイ糖との相性もいいのか、レシピどおりにゆでると、短時間でつやも良く、舌に滑らかな、おいしいつぶあんが完成する。【『食べもの通信』2018年1月号より一部抜粋】
 
ご注文先
森田農場
北海道清水町羽帯南2線106
Tel:0156-63-2789

2017年11月号 隔月連載 すてきな日本の味【27】

50種類のブレンド無農薬玄米 いろいろ米

いろいろ米 1㎏1000円(送料別)
 50種類もの米が混ざった「いろいろ米」は、長い歴史を支えてきた米の大切さを伝える味であり、「実るほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな」のことわざどおり、謙虚で誠実な上野さんの人柄を映す鏡でもある。
 ポリフェノールやミネラルが格段に豊富な黒米や赤米も多く、1割ほど白米に混ぜていただくのが食べやすい。
 いつでも手軽に食べられる「いろいろ米」の「ぽんせん」も、薄い塩味だけなのに味わい深い。子どものおやつに最適だ。(『食べもの通信』2017年11月号より一部抜粋)
 
ご注文先
上野 長一
栃木県河内郡上三川町五分一180
Tel&Fax:0285-56-6567
 

2017年9月号 隔月連載 すてきな日本の味【26】

牛のエサにもこだわったなかほら牧場の和胡桃(わくるみ)アイスクリーム

ミルク、和胡桃、チョコレート味
 さて、この季節のおすすめはカップアイス。白砂糖ではなくアガベシロップを使い、滑らかさを添える岩泉産の脱脂粉乳を少し加えただけ。市販のアイスクリームに目立つ乳化剤、増粘剤、植物油脂などはいっさい使わない。
 冷凍庫から出して、10分待ってからいただく。食感はアイスクリームとシャーベットの中間。私のお気に入りは、和胡桃(ルビ=わくるみ)だ。常設店のソフトクリームがまた格別で、無農薬リンゴを栽培する木村秋則さんとコラボしたヨーグルトも買える。(2017年9月号一部抜粋)
 
 なかほら牧場
〒027-0505 岩手県下閉伊郡岩泉町上有芸水堀287
☎050‐2018‐0110
fax 050‐2018‐0178
nakahora-bokujou.jp
 

2017年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【25】

『糀屋三郎右衛門』の甘口みそ おふくろ自慢

原料の米、大豆、天日汐も国産
 麹むろまで備えたみそ屋は、東京ではもうここ一軒になった。「昔みそ」と書かれたのれんをくぐると、1939年築の木造建築のなかでは、みそを寝かせる大樽の横で、大豆を煮る大釜がもうもうと湯気を噴き上げていた。大手食品メーカーが24時間で仕上げる麹も、麹むろで3日かけて作る。この麹の力があってこそのうま味であり、わざわざ減塩とはうたわないが、「塩分9%」なのである。
 私のお気に入りは、「おふくろ自慢 甘口」。九州出身の私は関東の塩辛さにやや閉口していたので、これに出会ったときには本当に感動した。わが家では、高血圧で普段はみそ汁を控えている母への土産も、このみそである。(『食べもの通信』7月号 一部抜粋)

糀屋三郎右衛門
東京都練馬区中村2-29-8
Fax3970-5635
http://www.kouji‐ya.com
 
●白米みそ「おふくろ自慢 甘口/」850g
(粒)928円
(こし)946円
写真は石神井観光案内所で買える425g 497円(いずれも税込)

『草加家』のかんころ餅

「かんころ」は長崎の方言でサツマイモのこと
 私の生まれ故郷は長崎県の佐世保で、2歳まで暮らしていた。寒い時期には、細く切ったかんころ餅をストーブで炙(ルビ=あぶ)って、軽く焦げ目をつけていただく。それが最高のおやつだった。
 佐世保市の「草加家」のかんころ餅はおいしい。本場の五島産のサツマイモにこだわってきた。  
 九州では、戦後までサツマイモが主食だった地域も多い。かんころ餅はこの貴重な作物を通年保存するための知恵から生まれた伝統菓子。
 常温で180日もつように真空パックしたものと、冷凍で30日しかもたない生があるが、柔らかな生を5ミリくらいに切って焼くと、格別においしい。(『食べもの通信』2017年5月号から一部抜粋)      
 
有限会社 草加家 
長崎県佐世保市重尾町210 
TEL 0956-38-3808
http://soukaya.co.jp/
 
(写真右から)
かんころ餅 真空パック(紫のサツマイモ)260g 648円
かんころ餅 真空パック(黄色のサツマイモ)260g 648円
できたてを冷凍したかんころ餅・生 260g 500円(すべて税込)

2017年3月号 隔月連載 すてきな日本の味【23】

祝島産「天日干しのびわの葉茶」

祝島産「天日干しのびわの葉茶」
手摘みの葉を自然発酵して天日干しにしたびわ茶
 山口県の祝いわい島しまは、人口約400人。65歳以上が7割というこの島は、上関原子力発電所の建設計画に、30年以上前から島民の9割以上が反対し続けている。
 穏やかな瀬戸内の水面がきらきらと輝き、周囲12㎞ほどの島が、まあ、のどかで美しい。島の名産は天然のモズクやヒジキ、びわだ。島民たちはこれらを直売することで、原発に頼らない島の経済的自立をめざしてきた。
 びわ葉の効能は古くから知られており、日本人はこれを温灸に使ったり、お風呂に浮かべてあせも予防にしたり、煎じて夏バテ防止に使ってきた。 
 びわの葉茶はビタミンB17やミネラルが豊富で、カフェインはゼロ。慢性病で体が弱っているお年寄りや子どもでも飲める。
 祝島ではこのびわ葉を手で摘み、島の澄んだ空気のなか、何度も天日干しにし、焙煎器で炒ってお茶にしていた。ほのかな甘味があり、香ばしいと評判だ。(『食べもの通信』2017年3月号から一部抜粋) 
 
びわ茶
100g… 980円
     10袋以上おまとめ買いの場合は900円
50g… 580円
     10袋以上おまとめ買いは500円
(すべて税込、送料別)
 

山口県熊毛郡上関町祝島26
FAX 0820-66-2050(担当:岡本あとみ)
http://hartland.jp/
メール atomi@hartland.jp

2017年1月号 隔月連載 すてきな日本の味【22】

冬限定「新豆ミックス・ビーンズ」 一粒ずつ選び、磨きを掛けた十数種のセット

冬限定「新豆ミックス・ビーンズ」
うずら豆、虎豆、花豆、パンダ豆、貝豆、白花豆、在来種のえりも小豆、音更小豆など11種類がセットに
一粒でも力もりもり メインディッシュにも
 豆類の温サラダ。一粒でも、もりもり力が湧きそうな豆が、それぞれに美しさと豆らしい食感と風味を競う。こうなると、豆サラダもメインディッシュの光彩を放つ。
 この「新豆ミックスビーンズ」が、12月から期間限定で買える。乾物だから年中買えるのかと思えば、半日ほど水に浸けておいしく戻せるのは、この時季だけだそうだ。
 クリスマスの食卓は、ミックスビーンズで豆の名を当て合うなど、この時季だけの演出を楽しんでは。(『食べもの通信』2017年1月号から一部抜粋)
 
新豆ミックスビーンズ 
300g 900円
150g 500円(ともに税込)
 
村上農場 
北海道河東郡上士幌町字居辺東7線213
電話:01564-2-4614
FAX:01564-2-4624
http://imomame.jp

2016年11月号 隔月連載 すてきな日本の味【21】

こんの魚店の「おばあちゃんに教わったさんま甘露煮」 

材料は国産サンマにしょうゆ、ざらめ、ショウガだけ
 「地元の小さな魚屋さんで売っているものだけど、ここのがおいしくてね」と、魚にはうるさい知人も太鼓判を押した。
 ぶつ切りのサンマは型崩れせず、皮もきれいに残っているのに骨まで軟らか。味もよく染みている。材料はいたって単純、脂の乗った国産サンマにしょうゆ、ざらめ、ショウガだけ。なのに、なかなか自宅ではまねができない仕上がりなのである。
 この甘露煮に、「やまつ辻田」の山椒(15年5月号6ページ)をふれば、ご飯が止まらない。
 
さんま甘露煮 16切れ入り1100円
 
こんの魚店
宮城県石巻市相野谷字飯野川町105
電話:0225-62-3078
Fax:0225-62-3042

2016年9月号 隔月連載 すてきな日本の味【20】

半生タイプでジューシー 上品なうま味を引き出した一品

冬限定「新豆ミックス・ビーンズ」
半生タイプでジューシー。久保田商店のキンメダイのひもの
100年は続く老舗「久保田商店」で、10人にも満たないスタッフが昔ながらの手作りをしているという。
このキンメダイのおいしさが感動的だった。揚がったのは、ミッドウェー海域(北太平洋のハワイ諸島北西)。半生タイプでジューシー。いい塩梅で、その上品なうま味を引き出している。光治さんによれば「余計なことは何もしない、何も加えないこと」が秘訣だという。
北海道のサンマ、小ぶりなキンメ、アジなどを詰めたお得な3000円のセット、清水港の希少な釜揚げシラスも。

キンメ鯛 (大)1200円
釜揚げシラス 200g 500円~
 
久保田商店
静岡県静岡市清水区袖師町1575₋71
Fax:054-366-1431

2016年7月号 隔月連載 すてきな日本の味【19】

老舗醤油店に江戸時代から伝わる 秘伝の味「あけがらし」 

材料は米こうじ、からし、生醤油、唐辛子、三温糖、麻の実
白飯や豆腐料理、山菜に 
 ご飯の友と聞かれたら、最初に浮かぶのが、この「あけがらし」。それはおいしくて、ありそうで類を見ない仕込み辛子こうじなのである。まあご飯がすすむ。
 絶妙なのは、爽やかな辛みと後からくるほのかな甘さのバランス。クセになるのは、忘れたころにカリッとくる麻の実の触感。      
 地豆使った限定品のみそ「山一吟、完熟 蔵出し」や、素焼きの大瓶で3年寝かせた「長期熟成本かえし」もまた人気だ。   
 
「あけがらし」 140g 650円(税別)
山一醤油製造所 
山形県長井市あら町6-5
電話/FAX 0238-88-2068
http://homepagel.nifty.com /akegarashi/
 

2016年5月号 隔月連載 すてきな日本の味【18】

極上の素材で丁寧に仕込む  ちりめんじゃこと京だし

他店にまねのできない津乃吉オリジナルな味わい
 名店『津乃吉』の、堅実なものづくりに圧倒された。後述する素材でだしをとった調味液を、一昼夜寝かせる。ちりめんじゃこを蒸した後、この調味液に漬け込み、液切りして、炒って仕上げる。
 残ったじゃこだれは、2~3か月、冷蔵庫で寝かせ、さまざまな佃煮の貴重な「だしの素」になるという。
 自慢の「京だし」には、枕崎の花かつおや利尻の天然コンブ、水飴は香川の麦芽水飴を使い、これに薄口しょうゆや種子島の粗製糖、隠し味の「じゃこだれ」や30年継ぎ足したコンブだしまで加える。 
 さんしょうじゃこも無添加の逸品素材にこだわる。じゃこは宮崎産。さんしょうは丹波篠山産で、梅雨入り前の柔らかい実だけを使う。ユズは徳島の木頭村の実生。純米酒は福島の大木代吉本店、しょうゆは香川・小豆島ヤマヒサの国産丸大豆。防腐剤代わりに使う梅酒は、岐阜の白扇酒造に委託。宮崎県の都城「紅梅園」の無農薬梅を原料にした特注品だ。
 
(写真左から)
「京だし」 360ml 990円
「山椒じゃこ」 50g 800円(各税込) 
 
『津乃吉』
京都市東山区新宮川町五条上ル
電話 075-561-3845
FAX 075-525-2609
http://www.tsunokiti.com/user_data/koutei_top.php
 
1
5
6
5
5
4
食べもの通信社へ行く
TOPへ戻る