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2023年5月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【111】

「畑で収穫してもらう」農業 京都府「かたもとオーガニックファーム」

消費者も一緒に田植え
 亀岡市の平地のはずれ、里山につながる傾斜地に、片本満大さん(44歳)の「かたもとオーガニックファーム」はあります。すべての農地で有機JAS認証を取得していますが、「有機JASを標榜してはいない」と言います。実践しているのは自然栽培。目指しているのは、消費者が畑に来て自分で収穫する農業だからです。
片本さんが耕作する農地は約2ヘクタール。広い畑は1枚もなく、小さな畑が42枚。合計するとこの面積になります。
 「高齢や後継者難などで耕作しなくなった畑を借りていったら、こんな枚数になったんです」
栽培している野菜は、年間で約70種類。ユニークなのは、その販売方法です。
「住宅街も近いので、多くは消費者の方に畑に来てもらい、野菜を選んでもらっています。『スーパーで買う野菜』が『畑で買う野菜』になったということです」
将来的には、消費者が畑に来て、自分で収穫するスタイルにしたいと言います。
 片岡さんは知り合いの有機農家や消費者などにも呼びかけ、団体「亀岡オーガニックアクション」を結成。給食への有機食材供給を、亀岡市に働きかけました。「市長も農業大学出身で有機農業に関心の高い人だったので、保育園4園で私たち有機農家7軒の野菜を月1回利用すると市が決断してくれました」
 「地元」を大切にしてきた片本さんの熱意が行政と一体になり、亀岡市はさらに大きな「有機の自治体」になろうとしています。【『食べもの通信』5月号より一部抜粋】 
 
かたもとオーガニックファーム
農産物は、亀岡市のふるさと納税返礼品にもなっています。
https://www.facebook.com/katamoto.vio/
 

 

2023年3月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【110】

生産者・加工業者・消費者 皆の熱意でおいしく安心な豆腐 大阪府「豆伍心」

消泡剤不使用なので丁寧に泡取り
 「豆伍心」は2006年9月から大阪府高槻市の工場で、「安全・安心」を基本においしい豆腐を製造しています。消泡剤を使わないことはもちろん、凝固剤には天然にがりを使用。原料の国産大豆にも安全とおいしさを求め、生産者と話し合いを重ね、契約栽培で品質向上に努めてきました。そこまでこだわりを貫くのは、会社が消費者に支えられて再建し、原料生産者の熱意とともに発展してきたからです。
役員の小西歩さんは胸を張ります。
 「私たちがつくるのは、温かいままの豆乳に天然にがりを入れ、攪拌(かくはん)しながら凝固させる『生豆腐』です」
豆伍心がかたくななまでに守る「昔ながらの製法」。その姿勢は、どこまでも徹底されています。 
にがりは、伝統技法でつくられる石川県の手作りにがりのみ。契約栽培の大豆は新潟県産のエンレイと、滋賀県産のフクユタカ。このうち、原料の大半を占めるフクユタカは、滋賀県竜王町の「竜王町稲作経営者研究会」の生産者を中心に栽培されています。
 「米の産地見学にきた生協の方に、『みなさんが食べている豆腐の大豆も、私たちがつくっているんですよ』と言うと、目を輝かせてくれる。そんな関係を築けることが、生産者のやりがいなんですよ」【『食べもの通信』2月号より一部抜粋】 
 
株式会社豆伍心
大阪府高槻市郡家本町13-20 
www.mamegokoro.com
℡ 072-685-0600
 

 

2023年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【109】

アレルギーが出にくい古代小麦 和歌山県「久保農家」久保智和さん

小麦の原種「スペルト(古代)小麦」
 9000年以上前にヨーロッパで栽培されていた「スペルト(古代)小麦」。改良の手がほとんど加えられていないため、収量は少ないものの悪条件に強く、小麦アレルギーも出にくいと言われています。生産量は一般的な小麦の3割から5割程度。そんな古代小麦と粘り強く格闘し努力した久保智和さん(49歳)は、5年たったいま、1ヘクタールの畑で毎年約1トンを収穫できるまでになりました。
 「自分で製粉機も買い入れ、小麦粉にしています。お菓子屋さんが聞きつけて、お菓子にしたらすごく評判で」。
 もともと、土木建築業の技術職だった久保さん。市役所の土木担当職員だった妻とも、仕事現場で知り合いました。「妻は子どものころからアトピーでしたが、年を重ねるほどひどくなっていきました」。
 化学物質や農薬、添加物なども一因と知った久保さん。「それなら、安全な農作物を自分でつくってやろうと思ったのです」。
 久保さんが栽培するのは、米、小麦、大豆などの穀類が中心。地元のパン屋に委託して、自家製粉した古代小麦のパンやクッキーを製造・販売しています。大豆も納豆製造会社に委託して、自前で製品化しています。【『食べもの通信』1月号より一部抜粋】 
 
 久保農家
穀類・製品は電話かメールで
和歌山県和歌山市中之島325-79
℡ 080-5357-8475
e-mail tomokunn0602@gmail.com
 

 

2022年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【108】

地産地消を確実に広げたい 京都府「音吹畑」高田潤一朗さん

「ふれあい朝市」でも販売
 四方を小高い山に囲まれた自然と、三千院や寂光院など文化的遺産が数多く残る京都市の大原地区。観光地としても有名なこの大原で、14年前から畑を借りて農業に取り組んでいる高田潤一朗さん(41歳)。畑は約1.5ヘクタールです。1年に2品種栽培する畑もあるので、実質的には年間で1.7ヘクタールを耕作しているといいます。
取材に訪れた夏の晴れた日、高田さんは朝のうちに白ナスや緑ナス、キュウリ、トマトなどの夏野菜を収穫していました。
 「つくっているのは、年間で約60種類ぐらい。妻が手がけているハーブも入れると、100種類ぐらいになります」
 京都市内の非農家に育った高田さんが農業に出会ったのは、24歳ごろのこと。まったく未経験の世界でしたが、初めてふれた農業にも農村にも、すぐにひかれたと言います。「地元で生きていく農業、直売所に新鮮な野菜を出荷して、顔を合わせる人に食べてもらう農業でやっていこうと考えました」。
 直売所や朝市で野菜を販売し、お客さんたちと顔を合わせて話をする毎日。「小規模でも、地域で循環する農業が目標です」【『食べもの通信』11月号より一部抜粋】 
 
音吹畑
〒601-1244
京都府京都市左京区大原上野町252-1
http://otofukubatake.com/
e-mail otofukubatake@gmail.com

2022年10月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【107】

地産地消を確実に 京都府「音吹畑」高田潤一朗さん

「ふれあい朝市」でも販売
琵琶湖北西岸に位置する高島市の高台に、「滋賀県の北海道」とも呼ばれる畑作地帯が広がっています。第二次世界大戦後の食料難の時代、小高い原野を入植者が切りひらいた泰山寺(たいさんじ)地区です。水田の多い滋賀県には珍しい肥沃土のこの土地に魅了され、9年前に新規就農して野菜づくりを始めた高橋佳奈さん(43歳)。自分たちでできる範囲の農作物をつくり、夫の章隆さん(50歳)とともに、農家レストラン「sato kitchen」で料理を提供しています。【『食べもの通信』10月号より一部抜粋】
 
みのり農園
野菜はホームページから
℡:080-4177-4284
Sato kitchen
滋賀県高島市安曇川町中野786
℡:0740-33-0012
https://satokitchen.info/

2022年9月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【106】

ベランダ菜園から本格的農業へ  奈良県・いこま満天ファーム 山本昌史さん

直売所に朝収穫したばかりの新鮮な野菜を並べます
会社勤めから収入は減少
やりがいや楽しさは倍増
 山本昌史さん(49歳)のハウスと露地の畑は生駒市白庭台(しらにわだい)周辺の、里山や田んぼと畑、住宅が混在している場所にあります。耕作している農地は、4カ所の畑全部で約30アール。ハウスは4棟です。早朝からハウスでミニトマトの手入れをしていると、散歩中の近所のおじさんが山本さんに笑顔で声をかけます。
 「トマト、なってきたなあ。大きくなったら、買いにくるけんなあ」
 大阪で電機メーカーに勤めていた山本さんの転機となったのは、2番目の子どものアトピーでした。原因の一つは食べものかもしれないと聞いて、農薬を使わない安全な野菜を自分でつくって、食べさせたいと考えました。
 最初は市民農園を借りていましたが、「物足りなくなって」生駒市に一家で転居20年以上勤めた会社を退職し、本格的に農業を始めます。「できるだけ新鮮なまま地元の人たちに食べてもらいたい」と、現在、販路は約4割が「みのりの里しらにわ」という直売所への出荷です。ほかに、地元のレストランや消費者の個人宅に、山本さん自身が軽トラックで届けています。
 地域に根ざしていれば、展望は開けると山本さんは考えます。
「勤めを辞めて農業をやりたいという人は、多いですよ。そういう方には、こう言います。サラリーマン時代より、確実に収入は減ります。でも、やりがいはあるし、毎日が楽しいですよって」【『食べもの通信』9月号より一部抜粋】
 
 ■直売所 みのりの里しらにわ
〒630-0135
奈良県生駒市南田原町270-2  
TEL:0743-20-6741

2022年7月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【105】

琵琶湖のすばらしさを残したい  滋賀県・駒井健也さん

早朝に網を引き揚げるエリ漁
朝早く漁に出て、湖上で朝日を見ながら朝食
漁で余った魚を昼食に
 駒井健也(たつや)さん(29歳)は建築家です。大学院で環境建築デザインを学び、自然や景観と一体となった街づくりを研究するなかで気づいたのは、琵琶湖のある滋賀県のすばらしさでした。あまり知られていませんが、琵琶湖はおいしい淡水魚の宝庫です。400万年の歴史をもつこの豊かな琵琶湖とともに生き、琵琶湖を大切にする暮らしをしたい。駒井さんが選んだのが、「漁師」という仕事だったのです。
 琵琶湖西岸の和邇(わに)漁港。駒井さんはほぼ毎日、夜明けとともに静かな湖面に船を出して漁を始めます。主に手がけているのは、「エリ(魞)」という漁法。小型の定置網を前日までに仕掛けておき、入ってきた魚を捕獲するやり方です。
 「夏はアユやビワマス、春は鮒(ふな)ずしになるニゴロブナやホンモロコ。冬にかけてはシラスのように小さな、アユの子どもヒウオ(氷魚)もこの網で獲ります」
 滋賀県の人たちは誇りを込めて、琵琶湖で獲れる魚を「湖魚(こぎょ」と呼びます。ほかでは味わえない味覚の魚種がたくさんいます。
 本格的な漁師となった駒井さんですが、建築の仕事も続けています。いずれは、滋賀県の資材を生かした建築なども手掛けたいと考えています。
 「琵琶湖での暮らしを伝える漁体験も始めました。朝早く漁に出て、湖上で朝日を見ながら朝食を食べ、漁で余った魚をお昼に食べる。そんな漁体験を通じて琵琶湖を丸ごと、たくさんの方に感じてもらいと思っています」【『食べもの通信』7月号より一部抜粋】
 
 ■駒井さんの魚介類はホームページを参照。https://biwako-fisher-architect.com/

2022年4月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【104】

給食パンを安全な地場産小麦で 和歌山県・貴志正幸さん

市民とともに手作業で安全な小麦を育てています
「つくりたい」と生産者が続々
子育て中の親たちも巻き込んで
 
「子どもたちに、安全で安心できる給食を食べさせたい」。そう願う親たちと一人の生産者が出会い、地場産の安全な小麦を原料とした給食のパンが実現しました。生産者は、和歌山市内の住宅に囲まれた土地で、水田中心の農業を営む貴志正幸さん(63歳)。子どもが小学生のころから給食に関心をもち、「パンよりも米飯給食がいい」と考えていた貴志さん。「少しでも安全な国産小麦のパンでと訴えたのですが、北海道産の小麦は高いという。それが、自分で小麦をつくってみようと思ったきっかけです」
そのころ農民連食品分析センターの調査で、給食パンから農薬のグリホサートが検出されたという報道が、全国の子どもをもつ親に衝撃を与えました。地域で開かれた集まりでも、給食パンの小麦が話題に。そこで「私、パン用小麦つくっています」と貴志さんが手を上げたことが、地場産の安全な小麦が給食用パンになる始まりでした。
 最初は、2020年産の小麦。地元の小学校1校だけで、11月に6回コッペパンとして提供されました。この話が農業新聞に取り上げられると、「つくってみたい」という生産者が集まってきました。さらに、子育て中の若いお母さんたちや女性団体の人たちも海南市の畑を借りて、「貴志さんの指導で小麦づくりに挑戦しました。
 その結果、昨年収穫の小麦は合計1.2トン。和歌山市、海南市、日高町の3市町86校に給食用パンとして提供されました。「採算ギリギリの価格。それでも、輸入小麦の約10倍です。しかし、世論が高まれば、国産小麦のパンの給食はどこでも実現できると思っています」と貴志さん。今年の小麦栽培面積は、昨年の約2倍に増えているといいます。【『食べもの通信』5月号より一部抜粋】  

2022年3月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【103】

地域で循環する農業を 京都府・「京のべじ」児島ひかるさん

ハウスでつくる野菜も有機栽培です
東日本大震災をきっかけに
農業も生活も「自然が中心」
 京都市の北西に隣接する南丹市。その中心部、園部駅から車で15分ほどの田園地帯に、児島ひかるさん(34歳)の農場「京のべじ」はあります。水田は約2ヘクタール。稲刈りの後、冬の間も田んぼに水をためて何回か代かきをし、雑草の種子を土中深く沈ませる冬季湛水という農法で、田植え後はアイガモに雑草を食べさせて、除草剤を使わずに自然栽培で米をつくっています。
 ほかにも、11棟のハウスで野菜を栽培していますが、ここでも農薬はいっさい使いません。「東日本大震災と原発事故で、自分たち自身も、生活そのものを変えていかなければと思うようになったのです」
 人間の都合ではなく、自然が中心になる生き方。食べものもエネルギーも、できるだけ地域で循環させる。そうした願いをもって、児島さんは農業に飛び込んだのです。
「生活そのものを変える」ということばどおり、廃食用油で車を動かしたり、太陽光収集器で湯を沸かしたり、暖房用に薪ストーブを入れたり。数年前に母屋を新築してからは、屋根に設置した太陽光パネルで電気もまかなっています。
 農業や農産物に対する児島さんの基本的な考えは、「入るものも出るものも地域で循環させる」こと。つまり、堆肥や肥料を使うなら原料は地元のもので、つくった野菜や米は、可能な限り地域の人たちに食べてもらうのが理想なのです。【『食べもの通信』3月号より一部抜粋】  

「京のべじ」の野菜をご希望の方は、ホームページをご覧ください。
または、児島さんも加わる生産者と販売業者でつくる組織「京都オーガニックアクション」にお問い合わせを。
 

2022年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【102】

地域全体で未来に続く活力を 静岡県・浅田ファーム(浅田藤二さん)

米、野菜、加工品など直接購入できます。詳細はホームページや電話等で確認を
「本物」で地域全体を観光資源化
次世代が希望の持てる田舎に
 伊豆半島のほぼ中央。天城峠に近い山間部にある伊豆市湯ヶ島は、古くから有名な温泉地です。しかし、地域の産業である農業は、衰退の一途をたどってきました。そんな故郷の状況に危機感を抱いた浅田藤二さん(57歳)は、長年勤務した市役所を辞めて家業の農業に専念。研究を重ね、農薬も肥料も使わない「自然農法」に取り組みました。
 やがて、目指していた品質の野菜が取れると、すぐに反応したのは地元の女性たちでした。評判が口コミで広がり、農作業を手伝いたいという人や、浅田さんを見習って同じ農法に取り組む農家も増えていきました。
 「私は動物性の堆肥は使わず、田んぼなら稲ワラ、畑なら粉砕した竹チップと草を入れるだけ。それで微生物が有機物を分解し、土を軟らかくしてくれる。米も天日干しで乾燥させて出荷しています」
 コロナ禍になる前の一昨年5月、浅田さんは地元の寺を借りて「1日だけのレストラン」を実施しました。「私がめざしてきたのは、地域全体の活性化。空き家を宿泊場所に、耕作放棄地を貸農園や体験農園にして『村が丸ごとホテル』になれば、観光客も人口も増えていく。本物を提供すれば田舎でもお客は来てくれる」。1万円で提供されたランチは、東京など遠方からきた客にも大好評でした。
 浅田さんは2020年10月の市議会議員選挙で推されてトップで当選し、活動の場はさらに広がっています。【『食べもの通信』1月号より一部抜粋】


〒410-3206 静岡県伊豆市湯ヶ島1348
TEL090-1280-3472
FAX 0558-85-1175
info@asadafarm.com

2021年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【101】

日本の原風景に農業の「未来」  島根県・長谷川敏郎さん

地域を守り、地域で循環する農業で、安全な食料をいつまでも
本来の茶の味はここにある
確信をもって続けた有機栽培
 中国山地にいだかれた島根県邑南(町は、平地が少ない典型的な中山間地です。この邑南町で、1・3ヘクタールの田んぼで米をつくり、繁殖牛2頭を飼育する長谷川敏郎さん(63歳)。米作りは除草剤使用1回だけの減農薬栽培。化学肥料には頼らず、飼育している牛の堆厩肥*(たいきゅうひ)や米ぬか、木灰など有機肥料だけで稲を育てています。「消費者に直接届けるなら、できるだけおいしくて安全な米を作ろうと思ったのです」。田植え時期を周辺の農家より3週間遅くし、疎植で病気が出ない工夫をしました。
 さらに、長谷川さんは裏山の手入れを始めて、落ち葉を集めて堆肥にし、間伐材をウッドボイラーの燃料に。繁殖牛は毎年、子牛を産みます。この子牛の販売と1・3ヘクタールの田んぼでとれる米で、年収は300万円足らず。それでも、農薬代も肥料代もいらず、燃料費もかからない持続可能な生活だと言います。エネルギーも食料も地域で循環させる「昔ながらの農家の生活」。地域を守り、地域で循環する農業が、安全な食料をいつまでも生み出しくれるということを。【『食べもの通信』11月号より一部抜粋】

米などの直接購入は可能ですが、今年は悪天候で成育状況が悪いため、詳細は電話等で確認を
〒696-0404
島根県邑智郡邑南町原村86番地
℡0855-83-1455  FAX 0855-83-0955

2021年7月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【99】

父から受け継いだ有機栽培茶 新たな活路へ  京都府・「童仙房茶舗」布施田雅浩さん

おいしいお茶を作るために、手間暇をかけて伝統の栽培法を続けています
本来の茶の味はここにある
確信をもって続けた有機栽培
 京都府の最南部。奈良県に接する南山城村は、生産量府内第2位の宇治茶の産地です。この南山城村で、40年以上前から有機、無農薬で茶を栽培している「童仙房茶舗」。7代目という布施田雅浩さん(49歳)を訪ねました。
 有機、無農薬で栽培を始めたきっかけは、農薬散布中に父親が農薬を吸い込んで体調を崩し、怖さを知ったこと。「薬をかけた茶を、消費者に届けたらあかん」が、父親の信念になったといいます。「最初の年は、害虫の被害で収量が半減しました。まわりからは変人扱いで、流通業者も相手にしてくれませんでした。わが家の家計も苦しくなりました」。
 ところが、農薬をまかなくなった畑には、やがてテントウムシやカマキリなどの益虫や、カエルなどが繁殖。茶の木も病気に強くなり、生産力は回復していきました。「有機栽培のお茶は色が澄んでいて、味もどちらかというと、すっきりしています。化学肥料を使って育てると、窒素成分が多くなってお茶の色も濃くなるし、いわば化学調味料を使ったような味になる。それがうまいように感じるかもしれませんが、本当のお茶の色や味ではないと思います」【『食べもの通信』7月号より一部抜粋】

童仙房茶舗の茶類についてはホームページで検索するか電話でお問い合わせください
℡0743‐93‐0046
https:// dosenbo-chaho.com







2021年5月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【98】

果樹園を再生 地域に無農薬栽培の風を  静岡県・渡辺卓也さん

無農薬の柑橘は好評。口コミだけですぐになくなるほどです
おいしく強く立派な野菜を
理想の畑で年間通じて栽培
 
 発酵学を大学院で研究し、シェフなどの仕事を経験してきた田村吾郎さん(49歳)がめざしたのは、有機農業でした。いまでは、120品目以上もの野菜を栽培しています。
 30代後半のころ、発酵学研究の知識を生かして、米ぬかやもみ殻、燻炭、ナタネの搾りかすなどで、自信をもって堆肥を作っていました。「しかし、調べてみるとナタネは輸入が多いし、米の農薬基準はゆるい。安全性が疑われる原料をやめていったら、にがりと畑の青草しか残らなかった」。
 ちょうどそのころ、田村さんは意外なものを発見します。一生懸命に土作りをした畑のミズナより、畦に近くて雑草が生えている固い土に、肥料もなく育ったミズナのほうがおいしく立派になっていたのです。
 「自然農法」といっても、雑草を生え放題にしているわけではありません。必要なのは野菜をよく観察して対処すること。それだけ、手間と時間がかかっているのです。農園には、地元の子ども会の親子がやってきます。都会から、援農にきてくれる消費者もいます。わんぱく自然農園たむそんは、多くの人たちの力で前進しています。【『食べもの通信』5月号より一部抜粋】

渡辺卓也さんの柑橘類については電話かメールでお問い合わせください
℡0558-36-3790(FAX兼用)
nawajiooue@orange.plala.or.jp

2021年3月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【97】

神奈川県・「わんぱく自然農園たむそん」田村吾郎さん

「農薬で虫を駆除するような極端なことをしなければ、虫害で全滅するようなことは起きない」(田村吾郎さん)

おいしく強く立派な野菜を
理想の畑で年間通じて栽培

 

 発酵学を大学院で研究し、シェフなどの仕事を経験してきた田村吾郎さん(49歳)がめざしたのは、有機農業でした。いまでは、120品目以上もの野菜を栽培しています。
 30代後半のころ、発酵学研究の知識を生かして、米ぬかやもみ殻、燻炭、ナタネの搾りかすなどで、自信をもって堆肥を作っていました。「しかし、調べてみるとナタネは輸入が多いし、米の農薬基準はゆるい。安全性が疑われる原料をやめていったら、にがりと畑の青草しか残らなかった」。
 ちょうどそのころ、田村さんは意外なものを発見します。一生懸命に土作りをした畑のミズナより、畦に近くて雑草が生えている固い土に、肥料もなく育ったミズナのほうがおいしく立派になっていたのです。
 「自然農法」といっても、雑草を生え放題にしているわけではありません。必要なのは野菜をよく観察し、「野菜に聞いて」対処すること。それだけ、手間と時間がかかっているのです。農園には、地元の子ども会の親子がやってきます。都会から、援農にきてくれる消費者もいます。わんぱく自然農園たむそんは、多くの人たちの力で前進しています。【『食べもの通信』3月号より一部抜粋】

わんぱく自然農園たむそん 田村吾郎
「旬の野菜おまかせセット」などの宅配もあります。詳細はホームページかメールで問い合わせを。
神奈川県愛甲郡愛川町三増355付近
https://tamuson.com/home/
goro@tamuson.com




2021年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【95】

石川県・Coast Table 齋藤義己さん

写真は「定番! かきフルコースセット」。シーズンにはカキの宅配も。

「漁師になりたい」 夢を夫婦で実現
二人三脚で海辺に焼きガキの店も


 石川県能登半島の中央部、波の穏やかな七尾北湾に面した穴水町は、おいしいカキで知られる漁業の町です。この町で、カキ養殖を営む漁師の齋藤義己さん(40歳)。妻の祥江(さちえ)さん(40歳)が採れたカキを調理して、海辺のレストランで提供しています。
 義己さんが水揚げする養殖カキは、1年間に約4万個。レストランでの提供や宅配などのほかに、穴水町の「ふるさと納税」の返礼品としても扱われています。
 穴水町では毎年2月に、4万人を集める「雪中ジャンボかきまつり」を開催しています。しかし、今年はコロナ禍で中止に。さらに、普段の営業も客数を制限しているため、売り上げは激減しています。
 それでも夫婦は、二人で決めた穴水町での「漁師生活」を満喫しています。「今後はカキのつくだ煮やオイル漬け、辛子みそ煮なども作って、販売していきます。海に関わることはなんでもやれと、師匠にも言われていますので」。
 義己さんは笑顔、愛船の「義祥丸(ぎじょうまる)」に乗り込み、カキ漁に出航していきました。【『食べもの通信』1月号より一部抜粋】

CoastTable
詳細はホームページか電話で問い合わせを。
https://coasttable.wixsite.com/oyster
石川県鳳珠郡穴水町中居南2-107
℡080-1966-1761



2020年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【94】

「有機」が広げた人と人の輪 長野県・織座農園 窪川典子さん

野菜は宅配でも入手可能です。問い合わせ はお電話で。80円)。「冷蔵品レモン果汁」100ml30本入り7200円(税込み。1ケース送料1300円)

草が生え放題の畑で野菜づくり
すべての生物の「共生」の力で

 

 浅間山を東方に望む、標高1200mにある窪川典子さん(68歳)の織座*農園。取材に訪れた9月中旬には、キャベツやダイコンが、草に埋もれながら力強く育っていました。
 「農薬を使わないし、ビニールマルチも敷かないので、草が生え放題です。収穫量もまちまち。でも、こうやって野菜を育てると、いいこともあるんですよ」
 畑の隅にある豆の棚では、高原でしか育たないという花豆がしっかり生育中です。「この花豆はずっと連作です。ハウスの中のトマトも、何年も連作。それでもちゃんと育つのは、きっといろいろな草と共生しているからじゃないかと思うんですよ」
 一見、野菜の邪魔をしているように見える雑草も、共に育つことで農業を支えている。これが、織座農園流の有機農業です。取材に訪れた日、「ちいろば」からは子どもたちが織座農園にやってきて、農業体験などでにぎやかな1日を過ごしました。【『食べもの通信』11月号より一部抜粋】

 

織座農園
℡0267-88-2641
長野県南佐久郡佐久穂町大字八郡3078


2020年9月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【93】

半世紀の歴史ある産直組織 「異常気象」を超えて 静岡県・堀越一茂さん

「青島みかんジュース」720ml6本入り2700円(税込み。何ケースでも送料1080円)。「冷蔵品レモン果汁」100ml30本入り7200円(税込み。1ケース送料1300円)

すべての作物を無肥料・無農薬で

F1野菜からの固定種開発も

 柑橘類栽培が盛んな静岡県のなかでも、「おいしいミカンが育つ」と生産者が自慢する浜名湖北岸一帯。この地で、半世紀にわたる産直の歴史をもつ細江農産物供給センター(細江町農民組合)で理事をつとめる堀越一茂さん(42歳)は、組織で一番の「若手」。度重なる台風や大雨、猛暑など気象条件に悩まされながらも、地域の農地を守り、農業の未来を切り開いています。
 細江町農民組合が産直を始めたのは、静岡大学に学生生協ができた50年ほど前。「そのころの生産者たちが、もう80歳代になっています。初代組合長はまだ現役で、トラクターも運転するけど86歳です」。高齢化の波は、地域全体に押し寄せています。堀越さんは地域を守るため、耕作放棄地を借りて耕作を続けています。
 堀越さんが5年前から取り組んでいるのが、「春どりレモン」の栽培です。「防腐剤なんか使わないから好評ですよ」。
 もう一つの取り組みが、「金太糯(きんたもち)」という在来種の古代もち米の栽培。「異常気象も輸入自由化もあるけれど、普通に農産物を作って普通に生活できればいいんです」。【『食べもの通信』9月号より一部抜粋】

 

細江農産物供給センター
℡053-522-3140
kankitu@lilac.ocn.ne.jp

2020年5月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【92】

富士山麓で有機から自然栽培へ 静岡県・なごみ農園

なごみ農園 セット野菜などのご注文は電話、またはメールで

すべての作物を無肥料・無農薬で

F1野菜からの固定種開発も

 宮田雅和さん(52歳)が30歳を過ぎて会社員を辞め、選んだのは農業。「食の安全」の大切さに気づき、富士山麓で独立して、2年前から農薬も肥料も使わない自然栽培に挑んでいます。「有機栽培は生産したものも消費したものも、すべてその土地で循環することが理想だと思うんです。そう考えると家畜の飼料はほぼ輸入なので、家畜の糞を使った堆肥は使えない。いっそうのこと、肥料も入れない自然栽培のほうがいいと考えるようになったのです。今はすべての作物を無肥料、無農薬で育てています」(宮田さん)。

 「自家採取」の野菜づくりにも挑んでいます。「古くからの在来種や、固定種を取り寄せて栽培もしていますが、じつはF1種(一世代のみの交雑種)からも固定種が作れるんですよ」
 研修生などから「有機農業で生活していけるか」と聞かれたとき、宮田さんは「30人のファンをつくれ」と答えると言います。「ぜいたくな暮らしはできませんが、生活はしていける。有機農業はだれにだってできるものなんです」【『食べもの通信』5月号より一部抜粋】

 

静岡県・なごみ農園
静岡県富士宮市青木418-5
TEL 0544‐22‐4801

nagomi-farm@nifty.com

http://nagominouen.o.007.jp/

 

2020年3月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【91】

「自然も人間も輪になるように」地域に根ざして 埼玉県・有井農円

20アールの畑から出発
年間80種の野菜を栽培

 有井佑希(ゆき)さん(39歳)は27歳のとき、小川町の霜里農場で1年間研修。その後、酒造会社などで働いて資金を貯め、築100年の古民家と畑を借りたのが2011年。畑20アールからのスタートでした。

 「生活はアルバイト頼りでしたが、野菜は直売所などで売れました。いまは畑1.3ヘクタールと水田が40アール。農業だけで生計が成り立つようになりました」(有井さん)
 「農園」でなく「農円」と称したのは、「命が循環し、人が集まって円になるような」農場をめざしたからです。
 「自然のなかで暮らしたい」。有井農円で6年前から一緒に仕事をする榎本忍さん(30歳)さんも、霜里農場で研修を受けました。
 「多種類の野菜を少しずつ作る有機栽培に魅力を感じました。いまは近くの福祉作業所の利用者さんと一緒に、畑仕事をしたりしています。みんな楽しみにしてくれて、とても助かっています」(榎本さん)
 今年からは保健所の認可を得て、梅干しや漬物などの加工品の販売も始めると計画です。【『食べもの通信』3月号より一部抜粋】

 

有井農円
埼玉県比企郡小川町下里878
◎現在、野菜ボックスは注文限界のため、野菜類の購入は「道の駅おがわまち」でどうぞ。
道の駅おがわまち
小川町大字小川1220番地
TEL 0493‐72‐1220

 

2020年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【90】

無農薬で安心できる果樹栽培  熊本県・ミスター・オレンジ 安田昌一さん

果実のほか、ジャムやフルーツソース、ジュースも

果樹園を歩く七面鳥が
安全で安心な無農薬栽培の証明

 父親は農薬や化学肥料を使用する慣行栽培で、ミカンを作ってた安田昌一さんは病気になった父親に代わり、専業でミカンを育てることに。ところがバブル経済破たん直後で、ミカンの価格も大暴落。生活費にもならない日々が続きました。

 「公害を経験した水俣市は、環境保護に力を入れるようになっていました。農薬や化学肥料を使わない安全なミカンなら評価されるだろうし、安く売らずに済むと考えました」
 安田さんは、ミカンを病気や害虫に強い品種のかんきつ類に切り替えて、やがてほとんどのかんきつ類を無農薬栽培できるようになりました。
 「お客様が『ほしい』と思える安全で安心な農産物を作りたかったのです」

 訪れた畑には無農薬レモンが鈴なりに育っていました。農薬を使わない栽培法を証明するかのように、果樹畑では雑草を食べて害虫を駆除してくれる七面鳥がのんびり歩いています。冬期はデコポンやレモン、ポンカン、島ミカン、春になったらパール柑や甘夏、夏にはプラムやパパイヤ、マンゴーなどかんきつ以外の果実、秋にはシークワーサーやキウイなどを出荷しています。【『食べもの通信』1月号より一部抜粋】

 

株式会社ミスター・オレンジ
熊本県水俣市月浦199‐4
℡ 0966‐62‐5404
http://mr‐orange.net
メールアドレスyasuda@mx7.tiki.ne.jp

 

2019年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【89】

『本当の意味のぜいたく』な暮らし 静岡県・育み自然農園

セット野菜の宅配など、詳細はお問い合わせください

合鴨を利用した無農薬有機栽培

収入がなくても満ち足りた生活 

 気候温暖な南伊豆の中山間地で、築100年になる空き家を買い取り、「はぐくみ自然農園」を営む横田さん一家。無農薬で農作物を育て、「ほとんどお金を使わない」という自給自足の生活です。
「農業の勉強をしていくうちに、考えが変わりました。大量生産、大量消費の日本なんかより、むしろアフリカのほうが持続可能で豊かなんじゃないか。日本人のほうが、学ぶべきなんじゃないかって」(横田淳平さん、42歳)
 田んぼが少なく平地より斜面の多い土地。案内されて裏山に登ると、急な斜面に何段も石垣が積み上げられ、わずかな面積の畑が上のほうまで続いています。
「 はぐくみ自然農園」はその名のとおり、アイガモを利用した無農薬有機栽培の黒米や、野菜、果樹類を自然農法で育てています。さらに、季節の野菜や果物を使った無添加ジャム、玄米せんべい、餅などの加工品も販売しています。
 高齢化が進む中山間地では、農業生産者の確保は重要課題です。横田さんは都会から就農希望者を募り、自宅で寝泊まりしてもらい、農業研修をする活動もおこなっています。
 「経済的に恵まれた生活をしたいと考えなければ、自然にあふれた暮らしは、本当の意味でのぜいたくではないかと思いますよ」【『食べもの通信』11月号より一部抜粋】

 

はぐくみ自然農園
静岡県南伊豆町下小野8995
℡0558‐62-1487
farmhagukumi@ybb.ne.jp

2019年9月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【88】

西東京市で100年続く農家 東京都・やすだ農園

多種類の野菜。宅配もします。

「庭先直売所」でお客と対話
珍しい野菜の食べ方も伝えて

 西武池袋線の田無駅から徒歩約10分。マンションや新築の一戸建てが立ち並ぶ住宅街の一角に、やすだ農園はあります。

 農地の総面積は、約80アール。決して広くはありませんが、曽祖母の代から100年続く東京での農業を絶やさないように、安田弘貴さん(35歳)、加奈子さん(34歳)夫妻が受け継いでいます。
 5月のはじめ、弘貴さんはキヌサヤやホウレンソウ、サニーレタスなどの収穫に追われていました。
 「年間50種類ぐらいの野菜を栽培しています」。1年を通じて、収穫するものが途切れないように工夫し、カリフローレ(カリフラワーの茎が長いもの)やスイスチャード(カラフルな葉もの野菜)、サンマルツァーノ・リゼルバ(加熱すると旨味の増すトマト)など、珍しい西洋野菜も多種類作っています。
 住宅街に囲まれたやすだ農園では、街路樹などから出る落ち葉も堆肥の原料にし、土作りにも努力しています。2年前、減農薬、減化学肥料をおこなう農業者に都が認定する「東京都エコファーマー」を取得しました。【『食べもの通信』7月号より一部抜粋】

 

やすだ農園
野菜の宅配など、詳しくはホームページをご覧ください。
東京都西東京市西原町2-1-31
℡080-3209-0831
http://yasudanouen.tokyo/

2019年7月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【87】

西東京市で100年続く農家 東京都・やすだ農園

多種類の野菜。宅配もします。

「庭先直売所」でお客と対話
珍しい野菜の食べ方も伝えて

 西武池袋線の田無駅から徒歩約10分。マンションや新築の一戸建てが立ち並ぶ住宅街の一角に、やすだ農園はあります。

 農地の総面積は、約80アール。決して広くはありませんが、曽祖母の代から100年続く東京での農業を絶やさないように、安田弘貴さん(35歳)、加奈子さん(34歳)夫妻が受け継いでいます。
 5月のはじめ、弘貴さんはキヌサヤやホウレンソウ、サニーレタスなどの収穫に追われていました。
 「年間50種類ぐらいの野菜を栽培しています」。1年を通じて、収穫するものが途切れないように工夫し、カリフローレ(カリフラワーの茎が長いもの)やスイスチャード(カラフルな葉もの野菜)、サンマルツァーノ・リゼルバ(加熱すると旨味の増すトマト)など、珍しい西洋野菜も多種類作っています。
 住宅街に囲まれたやすだ農園では、街路樹などから出る落ち葉も堆肥の原料にし、土作りにも努力しています。2年前、減農薬、減化学肥料をおこなう農業者に都が認定する「東京都エコファーマー」を取得しました。【『食べもの通信』7月号より一部抜粋】

 

やすだ農園
野菜の宅配など、詳しくはホームページをご覧ください。
東京都西東京市西原町2-1-31
℡080-3209-0831
http://yasudanouen.tokyo/

2019年3月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【85】

冷涼な高原で有機野菜の産直 群馬県・くらぶち草の会

消費者の顔が見えて
「安全な野菜を届けたい」思い強く

 群馬県の北西部にそびえる名峰、榛名山。その山麓に広がる倉渕町に、創立30年を迎えた生産者組織「くらぶち草の会」があります。その名のとおり、標高400~900mの「準高原地帯」の草の生えた畑から、有機・無農薬栽培で葉もの野菜や果菜などを育てています。
 「消費者に野菜を届け始めて顔が見えてくると、『この人たちが食べてくれるなら安全な野菜を』と強く感じて、無農薬をめざしてきました。『安全なものを』という要求には、自信をもって応えられました」(代表の佐藤茂さん)
 山の中で広い畑はありませんが、高原地帯と同様の冷涼な気候が強みでした。産直出荷する野菜への評価は高く、すぐに経営は安定しました。
 農業経験のない就農者を90年から受け入れて、98年からは就農希望研修生の受け入れも。都会からの就農も増え、いまでは約40軒の会員のうち、新規就農家族が半数を上回っています。
 佐藤さんは原発事故後の風評被害を「厳しい試練だった」と振り返りつつ、「しかしあの時期があって、結束が高まりました」と、自信をのぞかせます。【『食べもの通信』3月号より一部抜粋】


くらぶち草の会

群馬県高崎市倉渕町権田5344-185 

℡027-378-2531
http://kusanokai.main.jp/

2019年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【84】

名産のエビで地域を元気に 熊本県・「えび庵」 遠山菊江さん

アカアシエビ天丼(写真)1800円、えび庵御前1000円など、メニューは豊富
予想以上の評判に大忙し
芦北の将来に希望をもって

 熊本県の東に広がる不知火海(しらぬいかい)。大きな白い帆を張って魚介類を獲る漁船は、不知火海の風物詩ともいわれる「うたせ船」です。
 そのうたせ船で獲れた新鮮な魚介類を提供する直売食堂「えび庵」が、葦北郡芦北町にあります。運営の中心になっているのは、芦北町漁協うたせ船婦人部長だった遠山菊江さん(52歳)。夫婦中心で操業するうたせ船に夫とともに乗りこみ、家業を支えてきた「漁師のおかあちゃん」です。
 漁のメインであるアシアカエビやイシエビは、芦北町の名産です。大ぶりのアシアカエビは安価で、クルマエビにも劣らない味の良いエビだと言われています。
 「町営食堂の、運営を担ってほしい」。芦北町から打診され、店の責任者となった遠山さん。町の紹介で、神戸のシェフや専門家の指導を仰ぎ、料理を猛勉強。不知火海の獲れたてアシアカエビの天ぷらや、海鮮丼はすぐ大評判に。毎月1000人以上、多い月には2000人以上が来店するようになりました。
 「予想したよりずっと多くて。目玉商品のアシアカエビが不足することもありました。でも、『地元産』が売りだから、絶対にほかの食材は使わないことにしているんです」(遠山さん)【『食べもの通信』1月号一部抜粋】


「えび庵」
熊本県葦北郡芦北町計石2963-11
℡0966-83-8888
http://www.ashikita-ebian.com/

2018年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【83】

「新米漁師」が元気に奮闘中 千葉県・岩井富浦漁協 川崎諒さん

一本釣りする川崎諒さん
魚に傷がつかない一本釣り
高値がつき、料理人に喜ばれる
 川崎諒(りょう)さんは漁師になってまだ2年目、22歳の青年です。幼いころから釣りが趣味で、腕に自身のあった一本釣りでの漁を始めました。「ここは漁港ごとに市場があって、競りにもかけてもらえる。1本釣りだと魚に傷がつかないので、料理人に喜ばれるので、価格が高くつき、買受人からも評価されます」
 昨年6月から9月の最盛期は、岩井地区全体の活魚の水揚げ量比率のうち、スズキの35・5%、マアジの45・1%、アオリイカの50・4%を川崎さんが釣りあげました。ほかの漁師があまりとらないカサゴは76・1%、アカハタは98・8%と、ほぼ全部を占めています。
 今年6月、最新機器を備えた全長12・8mの漁船「諒栄丸」を新造。「いままで岩井地区では活魚の水揚げが少なかったけど、魚種を指定した依頼も増えてきて、少しは活性化に貢献できたんじゃないかと思っています」。希望にあふれた笑顔がこぼれます。【食べもの通信』2018年11月号より一部抜粋】
 

漁獲品の販売や釣り船の問い合わせなどは「諒栄丸」のホームページから。
http://ryowamaru.com/

 

2018年9月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【82】

接ぎ木せず、実生で育てる無農薬野菜 茨城県 関口手作り農園

機械に頼らず人力で農作業をおこなう関口実さん
「アレルギーも農薬の影響大きい」
自力で始めた野菜栽培
 茨城県古河市にある市街化区域の小さな畑で、「本物の味」のする安全な果菜を栽培する関口実さん。農業を始めたきっかけは、25年ほどまえ、勉強を教えていた子どもたちにアトピーやアレルギーに苦しむ古賀目に見えて増えてきたこと。「アレルギーも農薬の影響が大きいと考え、無農薬野菜を自分で作ろうと思った」と言います。
 
 トマトやキュウリ、ナスなどの果菜類は、カボチャのような気の根を土台にして接ぎ木で育てるのが一般的です。しかし、関口さんがおこなうのはタネをまくところから育てる「実生」栽培です。「接ぎ木は首から下がカボチャで、頭がトマトみたいなもの。皮が硬くなっておいしくないんです。実生で育てるうちのナスやキュウリは、子どもも軟らかくておいしいと言います」
 大病を患い、手術を受けた関口さん。ほぼ毎日、自転車をこいで畑へ「通勤」し、無農薬野菜を作り続けています。【食べもの通信』2018年9月号より一部抜粋】
 

関口手作り農園

野菜セットは電話で注文を。京野菜など、希望に応じたセットも可。
℡0280-22-5316

http://w3.dreams.ne.jp/sekiguti/

 

2018年6月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【81】

無肥料・無農薬で自家採種の在来種を育てる 群馬県 タンポポ農園

宅地化が進む地域で自然農法をおこなう本多稔さん
 毎日のように深夜まで残業をしていたサラリーマン時代に読んだ『奇跡のリンゴ』(石川拓治著)で、無農薬・無肥料でリンゴの栽培に成功した木村秋則さんに感銘を受け、食に関心をいだき始めた本多稔さん(50歳)。8年前、妻の実家に同居して始めたのは、肥料・農薬を使わない自然農法の農業でした。
 自家採種の伝統野菜や西洋野菜を栽培し、販売しています。
 
1年で60種類の野菜を栽培
その6割は自家採種

 関東平野の北西のはずれ。榛名山を目の前に臨む畑作地帯に、本多稔さんのタンポポ農園はあります。金沢原産の打木源助(うつぎげんすけ)大根、京都伝統野菜の時無(ときなし)大根、真黒ナス、早生丸葉小松菜など、聞いたこともないような珍しい野菜の名前が、本多さんの口から出てきます。
 宅配での定期購入の顧客が多く、収穫物を安定的に確保するために、本多さんが栽培する野菜は年間通じて60種類ほど。その多くが伝統野菜です。在来種の種苗を扱う「野口種苗」などで購入したり、自然農法の先輩などから分けてもらったものです。現在では、6割ほどを自家採種しています。
 「アレルギーや過敏症の人が、うちの野菜なら食べられると感謝してくれます。自分みたいな半分素人が作ったものでも人の役に立つんだなと、うれしくなりました」【『食べもの通信』2018年6月号より一部抜粋】
 

タンポポ農園

旬の野菜宅配セット
野菜7~9品 料金1700円(税込み、送料別)
群馬県高崎市塚田町50
℡090-6154-4430 
http://tanpopofarm.jp/

 

2018年4月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【80】

未来の世代に誇れるイチゴ栽培を

イチゴを無農薬栽培する出井茂さん
 「農薬の使用をできるだけ抑えたイチゴが食べたい」。そんな消費者の要望に応えるように、11年前から無農薬イチゴの観光農園にチャレンジしている出井茂(58歳)、絹江(58歳)夫妻。
 イチゴは一般的には、毎週のように農薬をかけて育てます。そのため無農薬栽培は「11年間、害虫被害で葉が全滅しなかった年は1度もなかった」と出井さんが言うほど、農薬使用の栽培と比べて難しく収穫時期が不安定で、収量もわずかです。
 それでも、出井夫妻は採算を度外視して、「未来の世代に恥ずかしくない農業をしたい」と、挑戦を続けています。【『食べもの通信』2018年4月号より一部抜粋】
 

イチゴや野菜の購入のお問い合わせは出井農園

山梨県甲府市小曲町1277

ホームページhttp://www.dei15en.com/

090-3148-9871

 

2018年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【78】

穏やかな環境で健康に育った短角牛の上質な赤身肉

短角牛のおいしさに衝撃を受けて
安全なエサをいっそう追求
 
 北十勝ファームの代表、上田金穂さん(58歳)もかつては、ある程度サシが入った牛肉がおいしいと感じていた一人。ところが短角牛を始めて食べたとき、そのおいしさに衝撃を受けました。
 短角牛に切り替えてからは、さらに安全・安心な肥育を追求するようになりました。エサは非遺伝子組み換え飼料や十勝産のデントコーン(とうもろこし)で作った自家製乳酸発酵飼料、小麦、大豆、ビートのしぼり粕など道内を中心に調達しています。輸入穀物の使用を止めて、より健康的で安全な飼料に切り替えることができました。
 「命あるものをいただく以上、せめてものお礼というか、償いとして、できる限りのことをしていきたい」(上田さん) 【『食べもの通信』2018年1月号より一部抜粋】
 

商品の購入などのお問い合わせは北十勝ファーム

ホームページhttp://kitatokachi-farm.co.jp/
089-3735
北海道足寄郡足寄町美盛3番地19

 

2017年11月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【77】

国内唯一の「オーガニックチキン」

「純国産」をめざして
有機資料舞の栽培も
 携帯電話の電波も、テレビの地上波も届かない筑波山系の山の奥。内外食品の鶏飼育場は、病原菌や化学物質の汚染を防ぐため、人里離れた場所にあります。
 現在、品種や飼育法が異なる3種類の肉用鶏を育てています。そのすべての鶏の飼料に使用する主原料は植物性たんぱくが主体で、遺伝子組み換え作物、抗生物質を使わずポストハーベストフリーのものにするなど、独自の飼育ルールにのっとって育てています。
 さらに、JAS有機認定で規定された「過去2年以上農薬が使用されていない農地で栽培された飼料」での飼育も、実践しています。
 「イノシシなど野生動物との接触を避け、飲用水は地下水を使用しています」と、説明してくれたのは農場管理部の田仲義男部長(65歳)です。「エサへの配慮に加えて、鶏舎は1㎡あたり10羽以内と決めて開放型鶏舎にし、運動できる放飼場スペースも確保しています。アニマルウェルフェア(動物福祉)の考え方が入っている飼育システム全体で見て、オーガニックチキンなのです」 (『食べもの通信』2017年11月号より一部抜粋)
 

お問い合わせは内外食品株式会社農場(茨城県)
Tel:047-432-0671
 

2017年10月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【76】

無添加トマトジュース ドレッシングや料理にも 

トマトジュース1ℓ 3本3千円 6本5千円 シシリアンルージュ1ℓ 3本4500円(送料・税込)
露地栽培で味や風味がいいのが特徴
 
 「塩分も無添加で自然の味です。加工もすべて手作業で安全なので、一人でも多くの人に味わってもらいたい」(福島県・有限責任事業組合「ゆいまある」の江田あさみ事務局員)
 「農」の担い手を育てる目的で設立した「ゆいまある」が生産する無添加トマトジュースです。加工用品種のトマト「らくゆたか」と「シシリアンルージュ」を使用しています。露地栽培で味や風味がいいのが特徴。
 「自然に左右される農業は、生産者も『毎回、宿題を出される』というほど、難しくて奥が深い。買ってくれる人の支援を力に、みんなでがんばっています」(江田さん)       (『食べもの通信』2017年10月号より一部抜粋)
 

お問い合わせ・ご注文

福島県・有限責任事業組合「ゆいまある」
Tel:0243-24-5877
http://tomatojs.exblog.jp/

2017年9月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【75】

牛ごとに味が違うヨーグルトが大人気

放牧されたニワトリは驚くほど人懐こく、穏やか
飼育、飼料、県工管理など厳しい有機JAS基準をクリアした卵
 山梨県甲斐市。標高1100mの森のなかに、日本で初めてオーガニック卵(有機卵)の認定を受けた卵を生産する農場があります。1950年に創業した黒富士農場です。
 日本で有機卵の認証制度ができたのは2005年です。黒富士農場は全国の農場に先駆けて02年から、有機栽培の世界基準(IFOAM*)を参考にしたオーガニックの採卵鶏事業をスタート。飼育条件、飼料、健康管理など厳しい有機JASの認定基準をクリアし、08年7月、日本で初めての有機卵審査に合格しました。(『食べもの通信』2017年9月号 一部抜粋)
 
黒富士農場の卵の販売場所、購入方法などはホームページをご覧いただくか、電話でお問い合わせください。
http://www.kurofuji.com/
TEL:0120-80-4105
 

2017年8月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【74】

牛ごとに味が違うヨーグルトが大人気

「牛に感謝の思いでいっぱい」。東京・「磯沼ファーム」の磯沼正徳さん
放牧とフリーバーン牛舎でのびのび
 都市近郊ではめずらしい約8000㎡の広大な放牧場で育成牛を放牧し、フリーバーン牛舎では乳牛がのびのびと暮らしています。飼料や水にもこだわり、徹底して牛の健康に配慮しています。良質な干し草を自由採食させながら、自家牧草地で収穫したフレッシュな青草、ビール粕、ニンジンのしぼりかす、果物の皮などと、水分量が多く牛の嗜好(しこう)性が高い、近郊の食品工場から仕入れた残さ飼料を与えています。
 牛の飲み水は、地下50メートルからくみ上げて、ミネラル豊富な化石サンゴのフィルターでろ過した天然水です。
 一押しは自家生産のヨーグルトです。コクと味わい深さが特長のジャージー牛のミルクをたっぷり使い、牛ごと、時期ごとに違う味が楽しめると大人気です。(『食べもの通信』2017年8月号 一部抜粋)
 

磯沼ミルクファーム

ヨーグルトやアイスクリームなどのご注文はオンラインショッピングで

http://isonuma-farm.com/

2017年6月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【73】

元気いっぱいの豚はうま味成分もいっぱい

栃木県・國母克行さんのエゴマ油
北海道・「エルパソ牧場」の平林英明さんと人懐っこい豚
病気知らずで、味わい深いおいしさ
 20代のときにアメリカの農場で見た、広大な家畜の放牧風景。そんな畜産を日本でやりたいと、1980年、約40年前から北海道でアニマルウェルフェアに基づく放牧養豚を営む平林英明さんの「エルパソ牧場」。
 ここで育った豚の肉やソーセージは、うま味がたっぷりのっていると大評判です。
 「ストレスのない環境で、ビタミンとミネラル豊富な天然の土を食べて、長期間飼育されたどろぶたは、若い豚にはない味わい深さが特長です。日本では160㎏という大きさだけで規格外と判断され、販売価格が安くなってしますが、若いシェフたちなど、評価してくれる人が増えています。その需要に応えたい」(平林さん)。
(『食べもの通信』2017年6月号 一部抜粋)

エルパソ牧場
豚肉などご注文はオンラインショッピングで。
http://elpaso.jp/
 
 

2017年1月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から 【70】

國母克行さんのエゴマ油

栃木県・國母克行さんのエゴマ油
國母克行さんのエゴマ油 180ml 2500円 パウダー100g 280円 
定年退職後に始めたエゴマ栽培
耕作地も人の輪もどんどん拡大
 体の中で、必須脂肪酸のDHA(脳を活性化し、コレステロールを抑制するなどの効果がある)EPA(動脈硬化、脳梗塞、血栓症高脂血症などの予防や改善に効果がある)に変わるα-リノレン酸などを豊富に含み、健康にいい油として知られるエゴマ油。血管を軟らかく若返らせ、認知症やアトピーなどにも効果があるといわれています。しかし、栽培量が少なく「手に入りにくい油」としても有名です。
 そのエゴマの栽培を、4年前に始めた國母克行さん(61歳)。搾油機も購入し、エゴマ油を製品化すると、評判は口コミで広がり、栽培面積は年を追って拡大しています。(『食べもの通信』2017年1月号 一部抜粋) 
 
問い合わせはTEL:080-6586-2693

2016年10月号 連載 食のかけ橋 日本の産地から

千葉県・島田均さんの鶏卵

千葉県・島田均さんの鶏卵
千葉県・島田均さんの鶏卵  
 
 島田さんが養鶏で使うエサは、卵の味を良くするために、自分で成分を設計した自家配合飼料。一般的な配合飼料はベースにトウモロコシを使用しますが、島田さんは飼料用米をベースに、ナッツ類やレーズン、ハーブ類、カツオ節の搾りかすなど、オリジナルの原料を配合しています。
 「安さだけを求めると、遺伝子組み換えのエサで大量飼育することになってしまいます。きちんとした飼育法で作ったおいしい卵を、再生産できる適正な価格で買ってもらえれば、生産者としてはいいと思うのです」
 島田さんは、卵の調理のコツを教えてくれました。「冷蔵庫で保存した卵は、常温に戻してから調理すると、香りも味も良くなるんです。どんな卵でも同じ。試してください」
 卵をおいしく食べてもらいたいという、養鶏家の真心が伝わってきました。(『食べもの通信』2016年10月号一部抜粋) 
 
問い合わせはTEL 0479-75-0358(多古町旬の味産直センター)
http://www.tako-syun.or.jp/
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