食べもの通信社 食べもの通信 家庭栄養研究会食べもの通信社 食べもの通信 家庭栄養研究会
本文へ移動

大女優 市原悦子さんの訃報に寄せて

2019-01-15
 2015年8月24日、銀座のとあるラウンジに、楚々と現れた大女優。それが『食べもの通信』10月号の巻頭インタビューを飾った女優・市原悦子さんでした。12日、82歳で他界されました。
 お愛想に笑顔を作ったりせず、ピリッと締まった空気と独特の穏やかな息遣い、一瞬一瞬を見逃すまいと神経を張り詰めたインタビュー取材でした。
 7歳のとき、自宅近くが爆撃された戦争の記憶や戦後の食糧難を語るとき、市原さんの強弱をつけた声が優しくも厳しくも七変化し、目線や顔の動きを交えて、聞き手の目の前に情景を浮かび上がらせます。特等席で演劇を見ているかのように引き込まれました。
 平和を願い、理不尽に痛みや苦しみを抱えて生きる市井の人びとを、つねに心に抱いて生きた市原さんが紡ぎ出す言葉「私は『月命日』と言っていますが、原爆が落とされた6日と9日は8月に限らず毎月、各局で平和を考える番組をやってほしい」「偉い人が繰り返すことば、『積極的平和主義』『生命と財産を守るための法案』など、どれも非現実的で白々しく聞こえ、どうしようもなくむなしい」「一番恐ろしいのは戦争です。原発や水俣病もそうです。理不尽な目にあっている人が置き去りにされている。だれにでも起こり得ることです」など、一つひとつにずっしりと確かな重みが感じられました。
 じつは、私が初めてお会いしたのは2005年。その後も4回、取材に応じてくださり、『食べもの通信』のインタビューが最後にお会いした日になってしまいました。その間、人の強さ、明るさ、謙虚さ、弱さをさまざまに見せてくださりました。まだまだ舞台やドラマを見たい、年をさらに重ねた先の演技も見たい、もっとお話を聞きたいと思っていました。
 語られた言葉一つひとつを、これからも幾度となく噛みしめたいと思います。みんなが自由を享受できる社会を実現するために――。それが重ねて話してくださった市原さんの、社会全体への遺言だから。
 同号をお手元にお持ちの方は、ぜひ、読み返してみてくださいね。
ご冥福をお祈り申しあげます。
 
                    (佐々木悦子)
    0
    2
    8
    4
    9
    5
    2019年3月
    1
    2
    3
    4
    5
    6
    7
    8
    9
    10
    11
    12
    13
    14
    15
    16
    17
    18
    19
    20
    21
    22
    23
    24
    25
    26
    27
    28
    29
    30
    31
    土日祝日はお休みです。電話受付時間は10:00~17:00です。
    • 営業日
    • 12/29~1/4までは年末年始休業
    TOPへ戻る